日本の携帯電話会社(キャリア)でも、2010年11月にKDDIがSkypeと提携し、Android搭載のauスマートフォン向けに「Skype au」サービスの開始を発表している。この提携をSkype側で支えたのがSkypeのProduct & Partner Marketing担当ディレクターであるリンダ・サマーズ氏だ(写真1)。Skypeとキャリアの関係や世界各国へのビジネス展開について、サマーズ氏に話を聞いた。


Skypeに入社してから、どのような仕事を担当していますか?

Skype Product & Partner Marketing担当ディレクターのリンダ・サマーズ氏
Skype Product & Partner Marketing担当ディレクターのリンダ・サマーズ氏

 Skypeが取り組んでいたモバイルビジネス部門のマーケティングを担当するため、3年前に入社しました。その後、Skypeはデスクトップからモバイル、テレビやコンシューマーゲーム機まで幅広いプラットフォームに進出し、現在ではSkype全体のマーケティングを担当しています。

2010年11月に、日本のKDDIがSkypeと提携しました。

 SkypeにとってKDDIとの提携は、日本市場にSkypeを普及させる大きなチャンスだったため、非常に重要なものでした。私自身、何度も東京に行き、提携に向けてKDDIと話し合いを重ねました。

KDDIはSkypeを「禁断のアプリ」として発表し、大いに話題を呼びました。この提携は、KDDIとSkypeのどちら側から持ちかけたものだったのでしょうか?

 KDDIからSkypeに問い合わせが来たのが始まりでした。2010年、Skypeは米Verizon Wirelessと提携しました。これはSkypeにとって初となる、ティア1のキャリアとの提携でした。

 このVerizonとの提携にKDDIも関心を示し、Skypeに相談を持ちかけてきました。VerizonとKDDIは同じCDMAによる通信方式を採用していますが、VerizonがどうしてSkypeと提携したのか、KDDIとしても関心があったのだと思います。2011年のKDDIは、NTTドコモやソフトバンクに対してスマートフォン分野で競争を仕掛けようとしていました。その競争を有利に進めるため、目玉となるサービスを用意することで強力な差別化を図りたかったようです。