世界各国のユーザーにインターネット電話サービスを提供しているSkype。Skypeは、どのように世界中にマーケティングを展開してきたのだろう。そのブランド戦略を、ブランド&クリエイティブ担当グローバルディレクターのギャリー・ブラモール氏に、Skypeのロンドンオフィス(写真1)で話を聞いた。ブラモール氏は、2009年にSkypeに入社して以来、Skypeのグローバルブランド戦略を担当してきている。

写真1●Skypeロンドンオフィス
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写真2●空や雲をイメージしたSkypeのロゴ
写真2●空や雲をイメージしたSkypeのロゴ
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そもそも“Skype”とはどういう意味でしょうか?

 Skypeという言葉自体に意味はありません。Skypeを創業したニクラス・ゼンストロームが考えた造語です。"Sky"は英語で「空」を意味しています(写真2)。残りの"pe"は、IPネットワーク上の音声通信「VoIP」から来ています。その2つの言葉を合わせて、「Skype」というサービス名にしたのです。

Skypeのブランド戦略を教えてください。

Skype ブランド&クリエイティブ担当グローバルディレクターのギャリー・ブラモール氏
Skype ブランド&クリエイティブ担当グローバルディレクターのギャリー・ブラモール氏

 いま、世界で3億人のユーザーがSkypeでつながっています。Skypeユーザーの伸び率は、世界人口の4倍の勢いです。このような成長を支えているのが、Skypeが大事にしている「3つの原則」です。

 まずは"Universal"、つまり普遍的であることです。これはあえて宣伝することではありませんが、我々のポリシーとして存在しています。具体的には、あらゆるプラットフォームにSkypeを展開することで、どのようなデバイスやネットワークを使っていたとしても、Skypeで接続できるようにするということです。

 2つ目は"Useful"です。Skypeを使いやすく、役に立つものにしようと常に考えています。たとえば、遠く離れた国に住む家族同士が、Skypeで簡単に連絡を取れるようにしたいのです。そのためには、技術に詳しい若者だけでなく、PCやスマートフォンといったデバイスに不慣れな両親やお年寄りでも使いやすいものでなければなりません。

 最後は"Wonderful"。これはわくわくするような素晴らしい価値を提供することを意味します。Skypeは世界におけるコミュニケーションのあり方を変えてきたと自負しています。そういう素晴らしい価値を、誰にでも使える低価格で提供してきたと思っていますし、今後もそうでありたいと考えています。