山幡為佐久氏は仮想化の分野で世界的に活躍するカーネル開発者だ。仮想マシンに始まり、現在はネットワーク仮想化や、クラウド基盤の分野でも第一線で開発を続ける。コミュニティー活動と仕事の関係、カーネル開発者を志す人へのアドバイスを語ってもらった。

(聞き手は高橋 信頼=ITpro


山幡 為佐久氏

 もともとXenやQEMU、KVMなど仮想化を中心にカーネルコミュニティーに参加してきて、現在はOpen vSwitchを中心に開発しています。Open vSwitchはOpenFlowの仮想ネットワークスイッチのリファレンス実装で、カーネル3.3からLinuxにマージされました。今、取り組んでいるのは、Open vSwitchをOpenFlowの新しいバージョンに対応させるための改造です。

 Open vSwicthの開発コミュニティーに参加しているのはNicira Networksのほか、通信事業者や通信機器メーカーなど。日本人はたまに見かけますが、常時活動しているのは私1人です。

 またNTT研究所が開発しているOpenFlowコントローラー「Ryu」にも貢献しています。

 OpenStackでは仮想マシン管理の「Nova」に、ユーザーが指定するボリュームから起動できるようにするBootFromVolumeという機能を入れました。今やっているのは、ネットワーク管理のQuantumへのRyu対応プラグインの実装です。

カーネル開発を始めたのは。

 学生の頃から趣味でLinuxのドライバを書いていました。専攻は数学で、プログラミングはすべて独学です。独学で勉強できたのも、LinuxやBSDのソースコードが公開されていたからですね。個人的にはソースは公開されているのが当たり前で、公開されていないソフトは触りたくないと感じます。