これまで4回にわたってお伝えしてきた連載企画「5年先を生き抜くITエンジニアになる!」も、ひとまず今回で一区切りとなります。これまでは、ITエンジニアに求められるスキルを主軸に話を進めてきました。

 しかし、転職に必要になるのはスキルだけではありません。確かにスキルは評価の土台になりますが、応募者のスキルが同レベルだったとき、採用する側は他の面、コミュニケーション能力などで判断をします。営業の職種ほど高いコミュニケーション能力を求められているわけではないですが、こういった人間力ともいえる要素が意外と重要となります。

 そこで今回はリクルートキャリアに所属し、採用に関する数々のデータを見ている私の視点から、採用活動において人事担当者が求めているエンジニアの人物タイプを見ていきたいと思います。

その1:文化適合力

 面接対策の書籍はたくさん存在するかと思いますが、そうした書籍に掲載されている内容以外で、人事担当者が一番気にするポイントが「文化適合力」です。

 面接を受けている人には、精神的な余裕があまりないため、なかなかこれへの対策は難しいのですが、応募者が自社の企業文化に違和感を抱かずに働けるかどうかは、人事担当者が見ているポイントの中で、小さくないウエートを占めています。企業の人事を担当している方の話を伺っていると、「うちの会社に合わないと思う」という不採用の理由をよく耳にします。

 企業文化とは例えば、早く帰ることを奨励する企業、体育会系企業、上司を「さん」付けで呼ぶ企業、飲み会が多い企業、社内での挨拶を大切にする企業などが挙げられます。文字にすると「な~んだ」ということに思えますが、その企業の持ち味=肌合いですので、仕事内容以上に合う合わないが出やすく、企業にとっても働く側にとっても疎かにできないところです。そのため、採用した人材は定着してほしいことから、人事担当者はそこを見極めようとしています。

 こうした企業文化に対して候補者にできる対策は、多くはありません。しかし、企業のウェブサイトや新聞記事を事前に読み込むなどの基本的なことは、必ず行ってください。

 また、面接の際にこの点を探るような質問をすることも大事です。現在所属している会社で感じている要改善点を踏まえ、「こういう環境はありますか?」と聞いてみることや、細かいところでは、給水器が置いてある会社かそうでないか、ミーティングルームは多いか少ないか、社内会議は多いか少ないかなども企業の文化を知るポイントになりますので、さりげなく聞いてみたり、職場見学の際にチェックしたり。

 あくまで、文化適合力は企業側が判断するポイントですので、こうした対策を取っても・・・と思われるかもしれませんが、重要なウエートを占めている部分だと、意識しておくことは大事でしょう。