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諜報謀略講座 ~経営に活かすインテリジェンス~

第29講:日中米のパワーポリティクスと尖閣諸島

2012/11/27 ITpro

 2012年11月、オバマ氏が米国大統領として再選された。そして中国では、胡錦涛国家主席の後を受けて、反日デモを主導したとされる習近平氏がトップの座に就いた。尖閣諸島をめぐる状況に端を発する反日運動、日本国内に醸成されつつある反中国感情、そして日中米のパワーポリティクスの状況を占ってみたい。

松下博宣

 筆者は定期的に、中国で事業展開をしている日本のビジネスパーソンと会合を持って、アドバイスやコンサルティングを行っている。そんな中で、反日暴動の後の会合では、厳しい意見が相次いだ。

「長年中国経済の発展に協力していた日本企業を攻撃、略奪するとは恩を仇で返すも同然。日中友好は複雑骨折して挫折した」

「日貨(日本の製品・商品)排斥運動は今後も続くだろう。中国に進出している日本企業の受難は当分続くだろう」

「複雑なサプライチェーンが中国国内に出来上がっているので、今さら撤退などありえない」

 共通しているのは、中国の反応が思っていた上に激烈、過激で、完全に想定外だったということ。そして、何が中国をそこまで激怒させたのか、よくわからないということだ。外交領域のゴタゴタは、日中ビジネスの現場の当事者から見れば「はた迷惑だ」という屈折した被害者意識がある。

 よくわからない対象がこちらを攻撃してくる時、人は得体の知れない恐怖を感じる。その恐怖の感情で一杯になったバケツに、被害者意識、不信感、不透明感、焦燥感がないまぜとなり、思考が停止してしまう。

中国のメンタルモデルとイシュー

 なぜ中国は、あれほどまでに激昂したのだろうか。あえて中国の側に立って整理してみよう。

 まずは、相手の立場に立って中国の行動様式の一端に触れることが大切だ。インテリジェンスの基本であり、それをビジネスに生かすことも必須となる。これができないと、落とし所を見つけることも、徹底的に戦うこともできない。

 ちなみに、このような行動様式を支えるもののことを、「メンタルモデル」や「インターナルモデル」と呼ぶ。

 まずは短期的イシューに注目してみよう。2012年4月に前東京都知事の石原慎太郎氏が、米国のヘリテージ財団で東京都による尖閣諸島の購入プランを突然発表した。時あたかも、日中国交正常化40周年記念のタイミングだ。さらに9月には野田佳彦首相が尖閣諸島の「国有化」に動いた。

 9月9日に開かれたロシアのウラジオストックでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)では、胡錦涛国家主席と野田首相が「立ち話」をして、その場で胡主席は魚釣島(尖閣の中国での呼称)のナショナライゼーション(国有化)を思いとどまるよう、警告した。

 その警告の翌日(9月10日)、日本政府は尖閣国有化の方針を正式に決めたと発表した。日本政府としては「島の所有権を国に移すだけ」であり、「何が悪いのか」という立場だ。

 ところが、中国からすれば、長年、曖昧に「棚上げ」してきた尖閣諸島を突如国有化した日本は、公然と対中強硬策に打って出てきたと受けとめた。胡主席から野田首相への警告シグナルは聞き流され、翌日、国有化を宣言するという流れが、中国のトップの「メンツ」を完璧に潰すことになってしまった。

 中国で「メンツを潰す」というのは、極めて重大な影響を及ぼす行為だ。第13講:中国人と仲良くする方法(チャイナ的人間関係への棲み込み)で触れたように、「認知人(レンシーレン)→関係(クアンシー)→情誼(チーイン)→幇会(パンフェ)」と呼ばれる中国人の人間関係の根本をぶち壊すほどの決定的な意味があるのである。

 つまり、日本の統治者トップが、中国国家主席というトップのメンツを潰してしまった、という口実がここで発生したのだ。

 さらには、習近平氏の新政権誕生という機微に満ちたタイミングで、過去40年間の日中友好の努力を一方的に否定し、ナショナリズムに傾いている、という「解釈」を生んでいる。

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