新聞購読者の減少が、スーパーなど流通業界の悩みの種になっている。これまで主要な集客手段としてきた、新聞の折り込みチラシの効果が薄れてきているからだ。

 この状況をチャンスと捉え、O2Oビジネスを積極化させているのが凸版印刷だ。同社は2011年9月、電子チラシサイト「Shufoo!」でスマホやPCにチラシを毎日配信する「電子オリコミサービス」を開始(図1)。1年足らずのうちに、200万ユーザーを獲得した。

図1●凸版印刷が運営する電子チラシ配信サービス「Shufoo!」
新聞の折り込みチラシを電子化し、スマホに配信する
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 自分の住所を登録しておけば、周辺地域の店舗の折り込みチラシが毎日配信される。スマホを利用する場合は、アプリ画面上に並んだチラシを指でタッチして、必要なチラシだけを選んでいく。

特売情報を毎日配信

 スーパーにとって、Shufoo!を利用するメリットは大きい。スマホでチラシを閲覧する層の約7割が新聞の非購読者で、20 ~30代の女性が多いという。これまで取り込めなかった層に対して、来店を促せるようになったわけだ。

 新聞非購読者だけでなく、折り込みの対象地域外の人にチラシを配信できる利点もある。スーパーなどは電子チラシが閲覧された回数に応じて料金を支払うため、紙のチラシで必要だった印刷や配達にかかるコストを気にせず、商圏を拡大できる。凸版はさらに、チラシを閲覧した利用者の住所や、性別・年齢、利用端末などの情報を分析し、加盟企業のマーケティング活動を支援する。

 イオンやイトーヨーカドーといった大手スーパーに加え、マツモトキヨシなどのドラッグストアやホームセンターがShufoo!での配信に乗り出し、チラシの掲載店舗数は2012年3月末で約7万5000店に達した。

 凸版電子チラシ事業推進部の亀卦川篤部長は「2013年度までに1000万ユーザーを獲得したい」と意気込む。より多くのネットユーザーを店舗に送客し、2011年度に約20億円だったShufoo!事業の売上高を、3年後までに200億円に引き上げる計画だ。