富士通は2012年4月、広東省仏山に「富士通中国華南データセンター(DC)」を開設した。同センターは、富士通としては中国本土で初めての自前設備となる。中国におけるクラウドやITサービスの中心拠点と位置づけ、中国事業に弾みをつけたい考えだ。同センターを統括する富士通(広東)科技服務のフランシス・リー ゼネラルマネジャーに中国本土のDC市場の状況や販売戦略などを聞いた。

(聞き手は宗像 誠之=日経コンピュータ


中国本土のDC市場は、どのような状況なのか?

富士通(広東)科技服務 ゼネラルマネジャーのフランシス・リー氏
富士通(広東)科技服務 ゼネラルマネジャーのフランシス・リー氏

 顧客がDCに求める要素が増えており、こうした従来のDC市場とは違うフェーズに入りつつある。これまでは、ネット環境とラックを用意できればDC事業を展開できた。しかし今後はそうはいかない。

 大規模なラックの拡張性、電力容量や信頼性、ネットの冗長化状況、安全対策など、DCサービスの展開では様々な要件が顧客から求められる。こうした複雑な要件を満たせるDCだけが、顧客を獲得できる。

写真3●広東省仏山市の「富士通華南データセンター」
写真3●広東省仏山市の「富士通華南データセンター」
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 実際はこのレベルのDCは中国本土にはまだ多くなく、富士通の華南DC(写真3)はこの要件を十分に満たすDCとして競争力を発揮できるだろう。

 侵入者がDC敷地内に入ろうとするとすぐ検知できる光ファイバーを張り巡らせるなど、日系IT企業ならではの安全対策が徹底されている(写真4写真5)。特に金融機関は、こうした対策を評価するはずだ。

写真4●DCの敷地を取り囲む壁に張り巡らせている、侵入者検知のための光ファイバー
写真4●DCの敷地を取り囲む壁に張り巡らせている、侵入者検知のための光ファイバー
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写真5●DCの敷地の入り口に設置されている監視カメラ
写真5●DCの敷地の入り口に設置されている監視カメラ
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