エンタープライズICTのNo.1情報誌「日経コンピュータ」とNo.1情報サイト「ITpro」がタッグを組んだ大型企画「日経コンピュータ ×ITpro 連動特集」。その第1弾「世界最適のシステム“立地”戦略」では、日経コンピュータ誌面で掲載した内容に続き、書き下ろしの「マレーシア編」を公開しました。今週は競争が激化する「中国・香港」編をお届けします。
中国本土や香港のデータセンター(DC)市場を巡り、KDDIやNTTコミュニケーションズ(NTTコム)、富士通などが火花を散らしている。日系企業や欧米企業の需要を取り込むため、各社は競うようにDCの新設や増床計画を打ち出している(表)。
会社名 | 新設・増床の動き(時期、延べ床面積) | 既設DC |
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KDDI | 香港にある既設DCのうち一つを2.4倍に増床(2012年12月、約2万平方メートル)。北京に新設(2012年12月、約2万5000平方メートル) | 北京、上海、香港(2カ所) |
NTTコミュニケーションズ | 香港に新設(2013年1~3月、約3万4800平方メートル) | 北京、上海、広州、無錫、香港(2カ所) |
日立製作所 | 大連に新設(2012年秋、約1万平方メートル) | 済南 |
富士通 | 仏山に新設(2012年4月、約1万2200平方メートル) | 香港 |
特に競争が激化しているのが、中国のゲートウエイであり、世界中の金融機関からの需要拡大で、重要度が増している香港だ。
香港と北京に2万平方メートル規模のDCを建設するKDDI
KDDIは2012年6月、香港の既設DCの延床面積を現在の2.4倍となる約2万平方メートルに増床し、北京では外資で最大級となる延べ床面積2万5000平方メートルのDCを新設することを発表した。投資額は香港のDC増床と北京のDC新設の合計で約110億円。いずれも2012年12月に、DCサービスの提供を開始する予定だ。
KDDIは香港に2カ所のDCを持つ。増床するのは2011年12月にサービスを開始した「テレハウス香港CCC」だ(写真1)。稼働開始からわずか半年で、大幅な増床を決断したことになる。
この背景には、香港における旺盛なDC需要がある。「欧米の金融機関やクラウド事業者などのシステム増強に伴う需要が拡大している」(鹿野浩司グローバル事業推進部課長)。同社の香港DCの顧客は、日系企業と欧米企業がそれぞれ5割弱、残り1割が中国や香港の企業だ。
KDDIは、テレハウス香港CCCを約2万平方メートルまで増床するだけでなく、その後も拡張を続ける計画を持つ。DCサービスを提供している建物の延べ床面積は3万5000平方メートルある。今回の増床分が埋まってくれば、さらにサーバールームを広げる。