日本人の国民性として、ディベートや交渉が下手なことは世界的に有名である。これでは国際的な舞台で成果を上げることは難しい。

 またIT関係者には、面と向かって交渉や論戦を行うことに苦手意識を持つ人が特に多いイメージがある。若いうちは独り仕事をすることが多いせいかもしれないが、社内でIT活用推進や業務プロセス改革に関わる人にそのような苦手意識があると、組織の壁に阻まれて実行力不全に陥りやすいだろう。

 そこで本連載は、世界的にも定評がある「孫子の兵法」に着目し、どのように応用していけばよいのか、ビジネスシーンでの活用を念頭に独自に体系化したうえで、提言していく。

 まずは、ディベートを「論争」と捉えて戦略的に孫子の兵法を活用するための「孫子の兵法 論争編」を体系化したので紹介する。本連載を通して日本人の「論争力」向上を目指したい。では5回にわたる「CIOの予算獲得編」から始めよう。

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