イノベーションを起こすヒントを誰もが知りたがっている。本書は花王の会長を務めた著者がネットで連載していたものづくり企業の未来考察をまとめたもの。なかでも「革新」についてページを割いており、大いに参考になる。

 著者は壁の破壊がイノベーションを生むと言い、イノベーションの種は物事の境界領域、つまり壁のところに潜んでいると指摘する。

 人は物事を考えやすくするために壁を作って内側にこもったり、余計なものは外側に排除したりする。それでは革新はできないという。「文系・理系の壁」や「業種の壁」は早く取り払えと主張する。そうすることで日本のものづくりが復権すると説く。

新・日本的経営を考える

新・日本的経営を考える
常盤 文克著
日本能率協会マネジメントセンター発行
1890円(税込)