みずほ銀行が次期システムの開発をマルチベンダー体制で進めることが日経コンピュータの取材で判明した。富士通、日立製作所、日本IBM、NTTデータの4社に分割発注する。ハードウエアの調達とアプリケーションの開発を分離し、さらに預金や融資といった機能ごとに開発委託先を変える。大手4社に発注を分散させることで、総額4000億円を超えるとみられる大規模プロジェクトにおける技術者確保などに万全を期す。

 委託内容と発注先との関係は次のとおりだ()。勘定系システムの中核をなす「流動性預金」のアプリケーション開発は、富士通に委託する。富士通はみずほ銀が現在使っている勘定系システム「STEPS」の開発元である。

図●みずほ銀行の次期システムの分担体制
ハードウエアの調達とアプリケーションの開発を分離するほか、アプリケーションごとに発注先を変えるなど、マルチベンダー体制を採用した
みずほ銀行の次期システムの分担体制。ハードウエアの調達とアプリケーションの開発を分離するほか、アプリケーションごとに発注先を変えるなど、マルチベンダー体制を採用した
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 流動性預金のアプリケーションの動作プラットフォームには、日本IBM製メインフレームを使う。みずほ銀は「CIF(カスタマー・インフォメーション・ファイル)」や「処理フロー制御」など、各アプリケーションが共通して必要とする機能を既に「共通基盤」として日本IBM製メインフレーム上で開発している。この共通基盤上で、流動性預金のアプリケーションを動かす。

 流動性預金以外のアプリケーション開発については、「融資」「外為」を日立に委託する。「信託」については日本IBMに任せる。「全銀接続系」はNTTデータに発注する。「定期預金」や「営業店との接続系」は富士通に任せる。これらのアプリケーションは、Linuxなどを搭載した富士通サーバーと日立製サーバーで動かす。アプリケーションは基本的にJavaで新規開発する。ただし金利計算など一部のロジックについては既存のものを流用する。

 次期システムの開発では、みずほ銀、みずほコーポレート銀行、みずほ信託銀行の勘定系システムを統合・刷新する。これに伴い、3行の現行システムは廃棄する。

 3行が現在使う勘定系システムの担当ベンダーは、みずほ銀が富士通、みずほコーポレート銀が日立、みずほ信託が日本IBMだ。3社は結果的に、みずほ銀からの受注を継続できたことになる。

 次期システムは2015年度から順次、稼働を始める計画だ。みずほ銀は4社を「共同検討ベンダー」と位置付け、4社を交えた共同検討会をスタート。要件定義に取り掛かっている。