いま、かつてないほど中国では「反日」感情が高まっている。今回は「尖閣諸島」を巡ってのいざこざだ。通りに面する日本料理店が襲撃され、日本車がその象徴として壊される。

 現地の日本人は、反日暴動に巻き込まれないよう地元警察から指示を受けている。毎回、どこで暴動があるかといった事前情報をもらうのである。そして警察は、暴動を放置しておく場所と厳しく取り締まる場所のメリハリをつけて警備をしているようだ。反日暴動の参加者も武装警察とできるだけぶつからないように、警察の意図を組みながら計画的に行動しているらしい。

 こうしたカラクリからか、表からみれば秩序よく暴動が行われているようにみえるので「政府が暴動を首謀しているのではないか」と、しばしば海外メディアからは疑われてしまう。しかし、これは、単に暴動するメンバーと武装警察の暗黙の了解といったところなのだろう。

 今回、現地では激しい「日本製品の不買運動」も起こっている。その一方で「文明国がやることではない」と不買運動に反対するメディアや活動家もいる。これまでの中国とは違い、意見が多様化している点は注目に値するだろう。