SNSを使って顧客の関心や意欲が高まっているタイミングを見計らっても、薦め方が悪ければ受け入れられない。アクティブサポートを実践する各社は薦め方に工夫を凝らす。また、担当者で応対のばらつきがない均質さも求められる。

マニュアルで徹底、他社に学ぶ

 Twitterで消費者と応対するニッセンやチューリッヒにはソーシャルメディア応対専門の組織がある。ニッセンではTwitter上で消費者と対話する際のルールを決めた。担当者による応対品質の違いをなくすためだ。

 突然顧客のTwitterへ直接呼びかけるため、失礼な文言を送ると消費者の気分を損ねかねない。そこで投稿時の文章の書き方をマニュアルにまとめた。数十ページにもなる。最初に顧客へ呼びかける場合は「失礼します。ニッセンの山田です。ツイート拝見しました」といったように名乗ってから呼びかけるほか、利用できる絵文字も「♪」は良いが「☆」は禁止といったように細かく決めた。

 また文章をコピー&ペーストして使い回すことを禁じている。「Twitterは検索すると、ほかの顧客への応対もすぐ分かる。同じ内容しか返答していないことが分かると、顧客の気分を害する恐れがある。コピペで省力化することは認めていない」(柿丸セクションマネージャー)と話す。

 こうしたマニュアルだけ決めても、実践が伴わなければ応対は均質にならない。ソーシャルメディアの応対チームへの配属前に顧客への模擬応対を「100本ノック」で行い品質向上を目指している。

 チューリッヒも同様にソーシャルメディアに応対するための専門部署を持つ。Twitterで応対する際には自社の保険を強くは薦めない。「自動車保険は条件が様々あり自社への契約が顧客にとってベストとは限らない。見積もり依頼するときの1社に入れば良い」(西浦本部長)との考えだ。

 Twitter上で他社と迷っていると分かっても押し売りはせず「何かご不明な点があればご相談ください」といった程度にとどめる。

 ライフネット生命保険は、Twitterで返信する際、その文言に工夫を凝らす。保険商品は説明事項が多い。そのため、Twitterの上限である140文字では説明し切れないことが多い。そこで、保険商品に関する疑問が解決するであろうWebページのURLを掲載し誘導する。「140文字では伝えきれない。詳細な情報を掲載しているページを案内するほうが理解してもらいやすい」(マーケティング部の岩田慎一部長代行)。

 提供する情報の価値が高いほど、反感なく受け入れてもらえる。日本旅行では、ときには友人同士の会話に割り込んで案内することもあるという。同社が販売する新幹線の割引切符について「どこで買えるのか」「どの路線で使えるのか」といったやり取りをしていた。そこに割って入り「 突然失礼します。こんにちは、日本旅行です♪(中略)関西地区の各店舗でご予約いただけます。ご利用お待ちしております!」と返信し、タイミング良く疑問に答えることができた。