ソーシャルクラウドとデータストア

 ソーシャルクラウドにおいて、データは絶え間なくセンサやモバイルデバイスなどから送られてくることが考えられる。データストアとはこのようなデータを効果的に処理し、高速で安全にデータを提供するための技術や手法を示している。ソーシャルクラウド基盤でのデータストアにおいては、処理の高速さや安全性に加え、保管したデータがどのような場合でも失われず、長期的に保管されるような仕組みや技術についても求められる。

 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)がまとめた、「2011年東日本大震災に際して提供されたクラウドサービスの事例」に拠ると、東日本大震災の期に提供されたクラウドサービスとしては次のようなものがあげられる:

  • 業務アプリケーションのSaaS提供(日本ユニシス eSupplierや自治体クラウドなど、NEC各種SaaSやExplanner、富士通 各種SaaSやCRMate、IIJ、サイボウズなど)
  • PaaSの提供(Microsoft Azure、 住商や日立ISよりGoogle Appサービス各種他)
  • IaaSの提供(富士通、IBM Smart Business Cloud、NECビッグローブなど)

 以上の事から、震災時において利用されたクラウドサービスをレイヤーごとに分けた場合において、それぞれ重要となるデータストアには以下を考えることができる。

 (1)SaaS バックエンドとなる業務データベース
 (2)PaaSストレージサービスとしてユーザーに提供される大多数ユーザー向けストレージ領域
 (3)IaaS VMイメージを保存・提供する大容量のストレージ領域
 (4)SNSやブログなど通常のソーシャルサービスで用いられるデータストア・処理領域

 これらのサービスにおいても、利用されるデータストアは異なっており、従来のデータベースから大規模データストア、分散データストアなど様々である。ソーシャルクラウドにおけるデータストアのアーキテクチャを検討するにあたり、運用中の技術から研究中の技術までを対象に、性能や信頼性、構築・運用を実現するための技術について調査した結果を紹介する。