多くの企業のIT環境は、データセンター、パブリッククラウド、プライベートクラウドに分散し始めており、これらすべての環境を管理するために多大なコストが掛かっているのが現状である。さらに企業ではクライアントと各種のデバイスも管理しなければならないため、管理コストは増大する一方である。
マイクロソフトが2012年4月にリリースしたSystem Center 2012は、このように分散しているIT環境を一元的に管理するソリューションである。IT環境を一元的に管理することで、管理コストを削減することができる。
なお、System Center 2012は単体のソフトウエアではなく、表1の8つのコンポーネントから構成されている。これらのコンポーネントは独立して動作させることもできるが、コンポーネントを連携させることで、管理の自動化や効率化を実現できる。
このセクションでは、System Center 2012のコンポーネントの中から、プライベートクラウドの管理を自動化/効率化するコンポーネントであるOperations Manager、Data Protection Manager、Orchestrator、Service Manager、App Controllerにスポットを当てて解説していく。
Operations Managerによるクラウド監視
Operations Managerは、システム監視のコンポーネントだ。システム監視とは、コンピュータのハードウエアやソフトウエア(OSやアプリケーション)の状態をリアルタイムで監視し、エラーやパフォーマンス低下などの障害が発生した場合には素早くそれを検知して管理者に連絡することで、障害の迅速な解決を支援するものである。
Operations Managerは、物理PCだけでなく仮想PCの監視にも対応しているため、Hyper-Vのホストおよびその仮想マシンを自動監視することが可能だ。プライベートクラウドで稼働している多数の仮想マシンとその中で実行されている多数のアプリケーションを手動で監視するのは不可能に近い。Operations Managerは、それらの監視を自動化し、管理者の負荷を軽減してくれる。
各種OS、ネット機器、アプリを監視可能
Operations Managerによる監視対象は、大別するとWindows PC、UNIX/Linux PC、ネットワーク機器、アプリケーションの4種類である。監視データはすべてオペレーションコンソールと呼ばれる管理ツールで確認する(図1)。
Windows PCとUNIX/Linux PCの場合は、それぞれのPCにOperations Managerのエージェントが常駐し、ローカル監視を行う。常駐したエージェントはPCにインストールされているOSとアプリケーションを自動的に識別し、そのPCで必要な監視のルールだけを実行する(図2)。
ネットワーク機器は、SNMPプロトコルを使用してリモート監視する。ネットワーク機器の監視では、自動的にネットワーク機器を検出し、VLANやHSRP(Host Standby Routing Protocol)グループ、ネットワーク機器のプロセッサやメモリーのパフォーマンス情報などを監視することが可能となっている。