Windows Serverの標準のハイパーバイザーであるHyper-Vは、OSの基本機能として提供され、容易な導入と管理、そして高いパフォーマンスにより、そのシェアを拡大している。2012年9月に一般リリースされたWindows Server 2012にも、最新のHyper-Vが同梱されている。最新のHyper-Vでは、サーバー仮想化からプライベートクラウドへと進む企業のデータセンターをサポートするために、多くの新機能が追加され、機能強化も行われている。

 このセクションでは、新しいHyper-Vの新機能と機能強化点を中心に紹介していく。なお、Hyper-Vの新旧のバージョンを区別するために、ここでは便宜上、Windows Server 2008 R2のHyper-Vを「Hyper-V 2.0」、Windows Server 2012のそれを「Hyper-V 3.0」と表記する。

導入と管理は基本的に変わらず

 Hyper-V 3.0の導入にはサーバーマネージャーを使用し、管理にはHyper-Vマネージャーを使用する(図1)。これはHyper-V 2.0と同じ方法である。そのため既存のHyper-Vの管理経験があれば、操作に戸惑うことはないだろう。ただし、Hyper-V 3.0では、導入と管理の使い勝手が改善されている。

図1●Hyper-V 3.0はサーバーマネージャーからインストール可能。複数のサーバーに対して、リモートからインストールすることもできる
図1●Hyper-V 3.0はサーバーマネージャーからインストール可能。複数のサーバーに対して、リモートからインストールすることもできる
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 例えばWindows Server 2012のサーバーマネージャーは、マルチサーバー対応となっており、一元的な導入と管理が可能である。サーバーマネージャーからネットワーク経由で任意のPCへHyper-Vの役割を追加することができる。Server CoreのPCへHyper-Vをインストールすることも簡単である。

 また、Hyper-V 3.0では、Hyper-Vマネージャーとは別にHyper-Vを管理するためのPowerShellコマンドレットが追加されている(図2)。Hyper-V 2.0では、コマンドラインからHyper-Vを管理するためにWMI(Windows Management Instrumentation)インタフェースを使用していたが、WMIは柔軟である半面、開発者用のため、管理者にとっては複雑で使い勝手が悪かった。Hyper-V 3.0では、140個を超えるPowerShellコマンドレットが標準で用意されており、Hyper-Vの管理タスクをコマンドラインやスクリプトから容易に実行できる。

図2●Hyper-V 3.0では140を超えるPowerShellコマンドレットが用意された
図2●Hyper-V 3.0では140を超えるPowerShellコマンドレットが用意された
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