前回は、ユーザー企業・団体でITの業務活用を推進する主役が、情報システム部門と営業企画部門であることを述べた。今回は、ベンダー企業が7種類の業務について、顧客に提案する際に接触している部門について見ていこう。先に結論を言うと、情報システム部門が圧倒的に多い。

 ベンダー企業が「最もよく接触している部門」は、7業務すべてで情報システム部門が1位となった。しかも、回答割合は全体の5割弱~7割弱と非常に高い(表1)。2位の部門は5つの業務で1割台にとどまる。「営業成果向上」と「会員組織活用」の2業務で、営業企画部門が2割台とやや多い程度だ。営業企画部門は5つの業務で2位にあるが、「実店舗への誘導」と「ソーシャル活用」ではWebマーケティング部門が2位につけている。

表1●ベンダー企業が顧客にITの業務活用を提案する際に「最もよく接触している部門」(単一回答)
表1●ベンダー企業が顧客にITの業務活用を提案する際に「最もよく接触している部門」(単一回答)
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 一方、ベンダー企業が顧客に提案する際に、接触している部門を複数尋ねた場合はどうか。ここでも情報システム部門は7業務すべてで1位となり、6割台から8割台の回答を集めた。ただし、2位は3割程度から5割台前半といった水準にあり、「最もよく接触する部門」と比べるとやや高い(表2)。5つの業務でやはり営業企画部門が2位にあるが、「顧客情報活用」と「BYOD」では経営企画部門が2位につけている。ベンダー企業にとって経営企画部門は、経営者や経営戦略と直結する部門であり、提案の際に接触するうえで押さえておくべき部門と位置づけられているのだろう。

表2●ベンダー企業が顧客にITの業務活用を提案する際に接触している部門(複数回答)
表2●ベンダー企業が顧客にITの業務活用を提案する際に接触している部門(複数回答)
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ベンダーは営業企画/Webマーケ部門への食い込みが不足

 このようにベンダー企業は、情報システム部門を極めて重視した提案活動を行っている。これに対して、ユーザー企業におけるIT活用の推進部門は、情報システム部門だけではなく、営業企画部門やWebマーケティング部門が重要な役割を果たしている。ソーシャル活用では広報部門、BYODでは総務部門も中心となっている場合がある。

 ベンダー企業が営業企画部門やWebマーケティング部門に接触する度合いは、ユーザー企業・団体の中での重要性に比べると、物足りないのではないか。ベンダー側は、業務活用テーマに応じて、情報システム部門以外の関与部門とも接触し、現場のニーズに密着した提案活動を行う余地がありそうだ。