Windows 8には2種類ある。ひとつは従来通りの、Intelアーキテクチャのもとに稼働するもので、従来のアプリケーションとの互換性を備えている。もうひとつは、「Windows RT」で、こちらはARMアーキテクチャのもとに稼働する。

 企業ユーザーにとって、iOSやAndroid OSに対するWindowsの圧倒的なアドバンテージは、なんといっても Windows Serverのインフラを使ったActive Directoryなどによる集中管理ではないだろうか。これがあるおかげで、管理者は、何百台、何千台といったパソコンを効率的に管理し、ユーザーが好き勝手をできないようにしておける。

 ところが、Windows RTは、Active Directoryには非対応だ。そもそもドメインに参加させることができないのだ。システムの詳細設定で、コンピューター名のタブを見ると、ドメインに参加させることができそうに見えるのだが、実際にはグレイアウトしていてそれが選択できない。

Active DirectoryよりIntuneを選んだ

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 その代わりに、システムアプレットに「会社のアプリ」(写真)というコマンドリンクが用意されている。ここを開き、資格情報として、電子メールアドレスとパスワードを入力すれば、企業ネットワークに接続して会社のアプリやリソースにアクセスすることができるようになるという。結局のところ、これは、Windows IntuneによるSaaS型のクラウドサービスの管理下において使わなければならないということだ。

 つまり、Microsoftは、Active Directoryではなく、Intuneを選んだ。これは、BYOD(私物デバイス活用)のトレンドによって、ユーザーが持ち運ぶパソコンが、常に会社のネットワークにつながっているとは限らないということを想定してのことだろう。Intuneなら、エンドユーザーのパソコンはもちろん、管理者の管理用パソコンでさえ、会社のネットワーク内にある必要がない。インターネットにさえつながっていればいいからだ。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
フリーランスライター
1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei