日本オラクルとSAPジャパンが、インメモリーデータベース(DB)の拡販に動き出した。2012年10月、オラクルはインメモリーDB専用機を日本で発売し、SAPはインメモリーDBのクラウド提供を始めた()。

表●オラクルとSAPのインメモリーDB戦略
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 メモリー上に全データを載せて操作するインメモリーDBを、オンライントランザクション処理(OLTP)とデータウエアハウス(DWH)の双方に活用できる「万能選手」として売り込む。

 オラクルは、OLTPとDWHの双方に対応したDB専用機「Oracle Exadata」をインメモリー化した。「Oracle Exadata X3 Database In-Memory Machine」は、読み書きの多いアクティブデータを全てメインメモリー(DRAM)とフラッシュメモリーに保存。ログだけをフラッシュに書き込んでいた従来モデルに比べて、書き込み性能を20倍に引き上げた。

 Exadata X3は、1ラック当たり最大22テラバイトのフラッシュメモリーを搭載。データは10分の1まで圧縮するため、物理容量よりも多くのデータを扱える。「情報系DBなら200テラバイトを処理できる」(日本オラクルの三澤智光専務執行役員)という。

 SAPもインメモリーDB「SAP HANA」を、OLTPとDWHの両市場に売り込む。現在はDWHとしての利用が中心だが、「SAP ERP」のHANA対応を進めており、用途をOLTPに広げる。

 これまでHANAは、NEC、シスコシステムズ、デル、日本IBM、日本ヒューレット・パッカード、日立製作所、富士通が、アプライアンス化して販売していた。今後はクラウドでも提供する。

 今回まずはデータ処理基盤にHANAを使用する小売業向けSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の「SAP Precision Retailing」を開始した。小売店に来店した顧客がスマートフォンのカメラを使って商品を「買い物リスト」に登録すると、登録した商品に応じたクーポンやお薦め商品情報を顧客に即座に提供するというアプリケーションだ。「データをリアルタイムに処理できるHANAだからこそ実現できた」(SAPジャパン リアルタイムコンピューティング事業本部の馬場渉本部長)。

 米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のクラウドをインフラに使ってHANAをサービスとして提供する「SAP HANA One」も開始している。