米グーグルは2012年10月30日、10インチ画面のAndroidタブレット端末を日本で発売すると発表した。表示能力などのスペックを米アップルのiPadより高め、価格を抑えた“iPadキラー”を投入する。米アマゾン・ドット・コムも7インチの低価格モデルで日本市場に参入する。

 挑戦状を突きつけられた格好のアップルは、Android陣営が先行する7インチ画面の「iPad mini」を投入する。米マイクロソフトは市場投入を見送ったが、国内タブレット市場でグローバルの大手が三つどもえの戦いを始める()。

図●米アマゾン・米アップル・米グーグルが順次発売しているタブレット新端末
8.9インチKindleの日本発売時期は検討中。色付きは今回初めて投入するサイズの製品
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 グーグルの「Nexus 10」は、10インチの高精細ディスプレーを搭載するのが特徴。表示の精細さでは9.7インチの現行iPadを上回る。最新OS「Android 4.2」を採用。iOSにはない複数ユーザーでIDを使い分けられる「マルチアカウント」の機能に対応している。

 Nexus 10は3万6800円と、iPadよりも安価だ。グーグルはサービスで使うサーバーを自作しており、フラッシュメモリーなどの部品を大量に購入。一般に部品コストの1~2割を占めるフラッシュメモリーの調達価格を抑えているとみられる。

 グーグルは価格破壊を狙って9月に1万9800円で先行発売した7インチモデルの出足が好調だが、さらに低価格路線を加速する動きも出ている。アマゾンが12月に販売するAndroidベースの7インチタブレット端末である。

 主力の「Kindle Fire HD」は1万5800円と「iPad mini」の半額近く、エントリー機はさらに3000円安い価格設定である。米国で11月に発売する8.9インチのモデルは日本への投入時期を検討している。

 アマゾンのジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)が「当社はハードを原価で販売する」と言うように、電子書籍などデジタルコンテンツやEC(電子商取引)などから収益を上げる戦略だ。

 アップルも手をこまぬいてはいない。2010年投入の初代「iPad」から画面は9.7インチだが、今回初めて7.9インチを採用。携帯音楽プレーヤ「iPod touch」と同等もしくは安価な価格帯とした。侵食を食い止めるため、価格戦略を大きく転換したと言える。

 地図アプリを活用する企業ユーザーには留意点がある。アマゾンのKindle Fire HDはGPS(全地球測位システム)機能を省いている。アップルは最新の「iOS 6」を搭載しており、地図機能の不具合は解消されていない。