手や体の動きで機器を操作するジェスチャー入力技術に,中国企業が強い関心を寄せている。最新製品や研究開発成果などを紹介する展示会で,ジェスチャー入力技術を利用した動作実演を中国企業が相次いで披露しているのだ(図)。

中国企業がジェスチャー入力技術を利用した動作デモをさまざまな展示会で披露している。(a~c)は2010年の「China Hi-Tech Fair」,(d)は2011年の「CES」での様子。
中国企業がジェスチャー入力技術を利用した動作デモをさまざまな展示会で披露している。(a~c)は2010年の「China Hi-Tech Fair」,(d)は2011年の「CES」での様子。
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 例えば,2010年11月に中国・深センで開催された電子機器の総合展示会「China Hi-Tech Fair」では,テレビ放送サービスなどを手掛けるSHENZHEN MEDIA GROUPが,ジェスチャー入力コントローラを手に持って動かすことで,セットトップ・ボックス(STB)を操作する実演を見せた。一方,中国の通信会社China Telecom社は,コントローラが不要のジェスチャー入力技術を見せた。STBに接続したWebカメラでユーザーの姿を捉え,その映像を基にユーザーの動きを推定する。
 
 続く2011年1月に米国ラスベガスで開催された世界最大級の家電展示会「2011 International CES」でも,中国企業によるジェスチャー入力技術を用いた実演が相次いだ。例えば,Hisense社やHaier社,TCL社といった中国大手メーカーが,テレビ用途を想定した,コントローラ不要のジェスチャー入力技術の実演を見せた。

大ヒットが背景に


 ここにきて中国企業がジェスチャー入力技術に基づく製品を披露している理由は,少なくとも三つある。まず,2010年に登場した,ゲーム機向けの新しいジェスチャー入力コントローラが大ヒットを飛ばしていることだ。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が2010年9月に販売を開始した「PlayStation(PS) Moveモーションコントローラ」は既に410万台以上,同年11月に米Microsoft Corp.が販売を開始した「Kinect for Xbox 360」は800万台を売り上げている。

 次に,インターネットから配信される動画を検索・視聴したり,テレビ向けアプリケーション・ソフトウエア(以下,アプリ)をネットからダウンロードして使ったりする次世代のネット・テレビの開発が活発化しているためだ。従来のテレビ・リモコンのボタン操作では,次世代ネット・テレビに搭載されるさまざまな機能を使いこなすのは難しい。その解決策の一つとして,日本や韓国の大手企業と同じく,中国企業もジェスチャー入力技術に関心を寄せている。

――続く――