横浜市のパシフィコ横浜で10月29日から11月2日まで、スマートシティをテーマにした国際会議・展示会「Smart City Week 2012」が開催された。
環境対応と持続的な成長の両立を図るなかで、その経済的な基盤になるのが都市だ。これからの都市は、より上質な暮らしを、より低コストで実現することを求める。そのためには、都市のイノベーション、すなわち“スマート化”が不可欠であり、その実現手段となるITへの期待が高まっている。具体的には、ビッグデータやセンサーネット/M2Mなどである。
スマートシティづくりは、これまでの実証段階を終え、より具体的・現実的なプロジェクトへとステップアップしている。それを受け「Smart City Week 2012」では、ビジネスモデルの確立を主要テーマの一つに掲げている。国内外の先進都市の講師が、それぞれの知見を語る国際会議と、スマートシティ関連製品/サービスの最前線が分かる展示会、および数々の専門セミナーや自治体主催セミナーが開かれた。
国際会議では、米ニューオリンズ市のCIO(最高情報責任者)や、ブラジルのリオデジャネイロで「Intelligent Oparations Center(IOC)」の実現を支援した米IBMのエンジニアなど、IT分野からの講演も相次いだ。グローバルには、ビッグデータやITをテコにスマートシティづくりが進んでいることを印象づけた。
展示会場では、BEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)やCEMS(地域エネルギー・マネジメント・システム)といったマネジメントシステムの出展が目立ってきた。これらにHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)などを組み合わせた国内でのスマートシティ/スマートホームづくりなども展示された。
Smart City Week 2012の国際会議から
- 「新たな都市の創造は、縦割り発想排除から」、英インペリアルカレッジGann氏
- 「渋滞税が都市の持続性向上に貢献」ストックホルム市の環境・厚生局長
- 「全データを共有できる仕組みが成否握る」米IBMスマーターシティ技術発案者
- 「環境未来都市構想」通じ新しい都市づくりで世界に先駆ける
- 「企業によるイノベーションを促進する枠組みを作る」---資源エネルギー庁新原氏
- 「革命に工程表はない、市場の想定が知恵を生み出す」---黒岩祐治 神奈川県知事
- 「人の暮らしや命を科学や技術の中に落とし込み、街づくりに」神奈川Dayパネル
- Smart City Week 2012が開幕、これからの都市の姿を議論
Smart City Week 2012展示会での注目システム
- 交差点の赤信号/青信号でサイネージ映像を切り替え、PDシステムが実演
- JFEエンジニアリング、地熱発電の一つ「バイナリー発電」の機構を実演
- 北九州市が“地域節電所”を展示、現地の電力需要をリアルタイムに表示
- パナソニック、神奈川県藤沢市で展開する「Fujisawa SST」の概要を初展示
- 東芝、スマートコミュニティ・マネジメントシステムを展示
- 日立、スマートシティのイメージを多角的に展示
- 明電舎が自律的にエネルギー使用を最適化するスマートBEMSを展示
- 富士通セミコンダクター、センサー社会向けにFRAMを展示
- 日本電業工作、電波で電力を供給するセンサーシステムを展示
スマートシティをめぐる「記者の眼」