JVMでスクリプト言語を動かす流れがわかったと思います。理解を深めるために、単純なアプリケーションを一つ作成しましょう。指定した文字列が何行目に含まれているかを調べるリスト1のRubyプログラムを記述して、Javaから呼び出すプログラムを作成します(リスト5)。

リスト5●JavaにJRubyのプログラムを挿入した例。ただし、エスケープ処理が複雑で面倒
リスト5●JavaにJRubyのプログラムを挿入した例。ただし、エスケープ処理が複雑で面倒
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 実装に当たって、基本的な構成はリスト2と変わりません。リスト2では、

String rubyCode = "puts 'Hello JRuby!'";

と記述していたrubyCodeオブジェクトに対して、Javaプログラムから読み取れるようにJRubyのプログラムを埋め込んだだけです。何とも単純な実装ですが、このプログラムをコンパイルして実行すれば、正しく動きます。

 ただし、プログラムを見てもわかるように、エスケープ処理が複雑になってしまいます。 JRubyで記述する部分が長くなってしまったらどうでしょう。いちいちエスケープ処理を施す手間が増えてしまい、スクリプト言語の良さである生産性が向上するとはいえません。

 そこで、Javaプログラムに埋め込むのではなく、外部にJRubyのプログラムを用意して、Javaプログラムから呼び出す方法を考えてみます。外部に用意するJRubyのプログラムをリスト6のように切り出します。これをlist1.rbという名前で保存しました。文字エンコーディングは、文字化けを防ぐためにUTF-8にしています。後は、リスト5をリスト7のように変更するだけです。

リスト6●切り出したJRubyのプログラム
リスト6●切り出したJRubyのプログラム
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リスト7●JRubyのプログラムを外部から読み込み出力する方法に変更した
リスト7●JRubyのプログラムを外部から読み込み出力する方法に変更した
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 ポイントは、evalメソッドの引数です。これまでは引数にJRubyのプログラムそのものを入れていましたが、ファイルから読み込むように変更しています。これでJRubyのプログラムを置き換えるだけで、検索だけではなく文字列の置き換えなど、様々な実装が可能になりますね。