米ベライゾン・ワイヤレスと米AT&Tモビリティーはそれぞれ、マルチデバイス向けのデータシェアプランを開始した。いずれも最大10台の端末間で、データ利用上限を共有できる。一方で、音声通話とSMSは無制限に使える。米国の2大通信事業者は、料金体系を抜本的に刷新することで、ARPU増を狙う。
スマートフォンやタブレット端末が急速に普及し、1人のユーザーが複数の端末を使い分けることは珍しくなくなった。音声通話やSMS(ショートメッセージサービス)の代わりに、SkypeやLINEといった無料のメッセージング/VoIPアプリを利用するユーザーも急増している。
こうした状況の変化を受け、米ベライゾン・ワイヤレスは「Share Everything」、米AT&Tモビリティーは「Mobile Share」と呼ぶ料金プランをそれぞれ開始した。いずれも最大10台の端末間で、データ利用上限を共有できる「データシェアプラン」である。どちらにも音声通話とSMSの無制限利用が含まれている。
両者の料金体系はほぼ同じ
先行したのは2012年6月28日にShare Everythingを開始したベライゾン・ワイヤレスである。料金体系は、利用する端末にかかる料金とデータ利用上限に応じてかかる料金から成る(表1)。端末にかかる料金は、スマートフォンは1台当たり月額40ドル、フィーチャーフォンは同30ドルなど種別ごとに異なる。データ利用上限に応じてかかる料金は、1Gバイトまでが月額50ドル、2Gバイトまでが同60ドル、以降は2Gバイトごとに最大20Gバイトまでの区分がある。従来は追加料金が必要だったテザリング機能も追加なしで使える。
一方のAT&Tモビリティーは7月18日にMobile Shareを発表。8月23日に開始した。Share Everythingと比べたときの相違点は主に三つある。(1)データ利用上限の区分、(2)スマートフォンを必ず1台以上含める、(3)スマートフォン1台当たりの月額料金がデータ利用上限に応じて変わる---である(表2)。他はShare Everythingとほぼ同じ料金体系になっている。
しかし、両社の戦略の違いは別のところにある。ベライゾン・ワイヤレスは従来の定額制プランの新規受付を停止した。Share Everythingに巻き取る形だ。これに対し、 AT&Tモビリティーは従来プランも残している。