「“WiMAX 2のようなもの”を導入していきたい」というKDDI田中孝司社長の思わせぶりなコメントで煙に巻かれていたUQコミュニケーションズの将来戦略。WiMAX ForumがTD-LTE互換モードを追加した「WiMAX Release 2.1」(WiMAX Advanced)を発表し(関連記事)、UQが導入を検討すると表明したことで(関連記事)、同社の目指す方向が明らかになった。

8月の緊急ボード招集から短期間で仕様策定

写真1●UQコミュニケーションズの野坂章雄社長
写真1●UQコミュニケーションズの野坂章雄社長
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 発表を受けてUQの野坂章雄社長(写真1)は記者のインタビューに答え、「現時点ではTD-LTEよりもWiMAXユーザーのほうが多いが、今後はTD-LTEのエコシステムが大きく広がる可能性がある。TD-LTEのデバイスを取り込むことでWiMAXを持続的に発展させようと、WiMAX Forumのメンバーの思いが一致した」と、WiMAX Release 2.1規格の策定の経緯を話す。

 WiMAX Release 2.1は、8月にWiMAX Forumにおいて緊急のボード会議が招集され、10月半ばに方針が固まったという。かなり短期間で仕様策定したようだ。

 データ通信端末がメインのUQとしては、WiMAX Release 2.1によるTD-LTE互換システムを導入することで「ユーザーの間口が広がる点に大きな期待をしている」(野坂社長)という。TD-LTE版のiPhoneの登場も噂されるなど、人気スマートフォンにTD-LTE機能が搭載される可能性も十分ある。さらにUQがWiMAX Release 2.1の導入を検討している2.5GHz帯は、LTE TDD Band 41として世界的に広がる可能性があり、人気端末がサポートする可能性が高くなっている。

 WiMAX Release 2.1のシステムを導入することでUQは、既存のWiMAX Release 1.0、その進化型であるWiMAX Releas 2.0(WiMAX 2)に対応した端末の収容はもちろんのこと、WiMAXに対応しないTD-LTE端末も収容できることになる。既存のWiMAXシステムを維持しつつ、うまくTD-LTEの端末エコシステムを活用しようという考えだ。

 ForumのメンバーでWiMAX Release 2.1規格に興味を持っている事業者は、UQのほか、マレーシアのYTLコーポレーション(YESというブランドでWiMAXサービスを展開)や韓国KTなどだという。ベンダーでは韓国サムスン電子、仏シーカンス・コミュニケーションズ、韓国GCTセミコンダクターなどが、WiMAX Forumのリリースにコメントを寄せている。