(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)
今回の回答者: アラクサラ ネットワークス 製品開発本部 製品開発部 GL主任技師 安西 淳 |
LANケーブルは、芯線の結線方法や通信品質の違いで複数の種類に分けられます。結線方法は、ストレートとクロスの二つです。通信品質は、カテゴリー5(Cat5)、エンハンストカテゴリー5(Cat5e)、カテゴリー6(Cat6)といったものです。LANスイッチは、つながれたLANケーブルがストレートかクロスかは自動判別できますが、Cat5、Cat5e、Cat6の判別はできません。
ストレートとクロスの違いは、ケーブルを介してつながったLANスイッチと機器が互いに電気信号をケーブルに流すことで判別します。この機能をAuto MDI/MDI-Xといいます。
一方、Cat5、Cat5e、Cat6といった違いは、ストレートとクロスのようには簡単に判別できません。これらの種類は芯線に使われる銅線の特性で決まるのですが、この特性を安価な仕組みで測定するのは困難なのです。
例えばケーブルの状態を調べる機器であるケーブルチェッカーには、複数のタイプがあります。結線状態を調べるだけのタイプなら数千円で購入できます。しかし、Cat5、Cat5e、Cat6の判別に使うタイプは数十万円を超えます。このタイプでは、ケーブルの一方の端から様々な周波数の電気信号を入力して、反対側からその波形を検知するなどの方法で周波数特性を測ります。この周波数特性でケーブルの種類を判別するのです。ここまでの判別機能をLANスイッチに搭載するのは、コスト的に現実的ではありません。
Cat5、Cat5e、Cat6といった違いを判別できないため、LANスイッチはケーブルの品質を超えた速度の通信をしてしまい、エラーを多発させることがあります。多くのネットワーク機器は、接続された互いのポートが対応している最も速い速度で通信を始めるためです。LANスイッチの監視機能などを使うことでエラーの発生頻度をチェックし、発生率が高いときはケーブルの種類を確認するとよいでしょう。