今回は、マイクロソフトが、ブランク氏が興したエピファニーを訴えそうになったという面白いエピソードです。大文字「E」と小文字「e」を度外視して訴えようとした当時のマイクロソフトの独善的な一面も興味深いですが、皮肉たっぷりのブランク氏の手紙草案もいい味が出ています。なお、本原稿では原文に従って「E」と「e」を使い分けています。(ITpro)

 1997年まで、エピファニー(E.piphany)は急成長しているスタートアップ企業であり、顧客と売上、そして繰り返し可能なビジネスモデルらしきものがありました。その年のいつだったか、会社のロゴをプロフェッショナルなものにすることにしました。最初のロゴは、“お見せしたいほど”お粗末なものでした。私たちが創造力を結集して創ったのは、「E」の文字の上に矢印がさっとかかったイメージに、社名を加えたロゴでした。

 1997年はまた、マイクロソフトがネットスケープ・コミュニケーションズと、ブラウザー戦争の真っただ中にあった年でした。マイクロソフトは、インターネット・エクスプローラー3を出荷したばかりで、それはネットスケープに初めて挑戦できる製品でした。ブラウザーと共にインターネット・エクスプローラーのロゴも発表されました。マイクロソフトも同様に創造力を結集して、「E」の文字の上に矢印がさっとかかったイメージに、製品名を加えたロゴに決めました。

 エピファニー製品のイノベーションの一つは、「ブラウザー」と呼ばれる当時としては最新式の発明を使ったことであり、ネットスケープとマイクロソフト両社のブラウザーが使えました。私たちはそのことを、特に何とも思っていませんでした。

 ただしそれは、マイクロソフトの法務部門から「両社のロゴは類似しており、混乱を生む可能性がある」と主張する手紙を受け取る日までのことでした。

 マイクロソフトは、私たちのロゴを変えろと要求してきたのです。私は、彼らの手紙を保存しておけばよかったと思っています。非常に印象的で、かつ面白い手紙だったからです。

 私は、今週までその手紙のことをすっかり忘れていましたが、当時エピファニーのマーケティング担当副社長だったダグ・キャンプルジョン氏が、マイクロソフトの法的な脅しに対して私が書いた返事の原稿をなぜか保存していて、今週になってその手紙を送ってきたのです。それは以下のような内容でした。