楽天が発売した電子書籍リーダー「kobo Touch」。同社が買収したカナダKobo社が開発したリーダーで7980円という格安の価格で提供。ファームウエアにはLinuxを採用している。早速、改造など試してみた。

 kobo Touchの特徴はシンプルさだ。本体サイズは114mm×165mmで新書版よりひと回り大きい程度。厚さは10mmと薄く、重量は185gと極めて軽い(図1)。

図1 楽天の「kobo Touch」
図1 楽天の「kobo Touch」
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 ボタン類は、上部の電源スイッチと全面のホームボタンのみ。PCとは本体下部のMicroUSBポートを使って接続するほか、内蔵無線LANでネットワークにつなげるようになっている。

 ディスプレイにはe-Ink社の“電子ペーパー”(極薄の表示装置)が用いられている。米Amazon社のKindleシリーズにも利用されているディスプレイで、内部の白黒の粉(トナーのようなもの)を静電気で制御して文字などを描く仕組みだ。

 この電子ペーパーは、書き換えが遅いが、書き換え時にしか電力を消費せず、電源を切っても表示が消えないメモリー効果がある。そのため消費電力が極めて小さい。ページをめくるときにしか画面を書き換えないため、表示の更新は遅くても問題がなく、省電力の利点が大きい。

 パネルは、解像度600×800ドット16階調のグレースケール表示をサポートする。実際に利用してみると、画面の書き換えは1秒以下で処理されるので、本を読む程度なら描画速度は問題ない。

 この電子ペーパーは、画面をリフレッシュする際には画面全体がいったん黒くなり、再描画する必要がある。見た目にちらつきがあるため、初期状態では6ページごとに完全なリフレッシュを実行する設定になっている。リフレッシュしない間は前ページの表示がうっすらと残り、少々気になる。かといって毎ページにリフレッシュする設定だとちらつきが気になってしまう。電子ペーパーとしてやむを得ないだろう。

 ページめくりは左右フリックか、ページの左右どちらかをタッチすると実行される。リーダー自体には機能は少なく、簡単なメモが残せるしおりや検索の機能を備える程度だ。

 サポートする電子書籍フォーマットはEPUB形式とPDF形式の2種類。国際標準のEPUBに対応しているのはkoboの大きな特徴だ。EPUB2以降から日本語がサポートされている。日本語完全対応をうたうEPUBリーダーはkoboが初となる。

 メモリーカードスロットはなく、メモリーは本体内蔵の約1.4Gバイトのみとなる。楽天では約1000冊の電子書籍を保存できるとしている。使い方によるが一般的な利用なら問題ないとみてよい。