中国ファーウェイと日本の関係というと、ソフトバンクモバイルやイー・アクセスが採用した基地局設備、そしてイー・アクセス、ソフトバンクモバイル、最近ではNTTドコモが採用している端末群を思い浮かべるだろう。

 実は日本との関係はこれだけではない。これまでフォーカスされてこなかった重要な関係として、日本の部品メーカーとの結びつきがある。

 基地局設備やコア・ネットワーク装置などの最終商材を開発するためには、ICやケーブル、電源設備など様々な部品の調達が必要になる。通信インフラ分野で世界トップクラスとなったファーウェイでは、グローバルな調達額が年平均13.7%で伸びており、2011年には年間で200億ドルの購買支出に達したという。中でもここ最近、同社が重視しているのは技術に長けた日本の部品サプライヤーだ。

ファーウェイの大ヒット基地局の裏にパナソニックのキーデバイス

写真1●中国ファーウェイ 商用ネットワーク・サプライ・チェーン担当ディレクター 呉昆紅(ウー・クンホン)氏
写真1●中国ファーウェイ 商用ネットワーク・サプライ・チェーン担当ディレクター 呉昆紅(ウー・クンホン)氏
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 「ここ数年、日本の部品サプライヤーを積極的に開拓してきた。研究開発段階のまだできていない部品についても、日本の部品メーカーと話し合いを進め、サプライチェーンに取り入れている」---。このように語るのは、ファーウェイ 商用ネットワーク・サプライ・チェーン担当ディレクター 呉昆紅(ウー・クンホン)氏だ(写真1)。

 ファーウェイによる日本における調達額は、2009年から2012年7月にかけて、年平均21.7%の伸びを見せている。2011年の日本における購買金額は7.08億ドルに達した(写真2)。「これまで部品については米国への依存度が高かった。肝心なコンポーネントの供給元が1社しかないケースがあり独占状態になっている。このような調達リスクを避けるため、同じく技術に長けた日本の部品サプライヤーと積極的に協業を進めるようになってきた」(呉担当ディレクター)。

写真2●日本におけるファーウェイの調達額の推移
写真2●日本におけるファーウェイの調達額の推移
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