検出精度の高さを誇るPS Moveの設計上の工夫を,「PS Move モーションコントローラ(以下、モーコン)」を分解することで探ってみた(図1)。

図1 Moveモーションコントローラの内部(a)。(a)には掲載していない細かな部品も幾つかある。PS Moveは,PS Eyeと組み合わせて利用する(b)。
図1 Moveモーションコントローラの内部(a)。(a)には掲載していない細かな部品も幾つかある。PS Moveは,PS Eyeと組み合わせて利用する(b)。
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 まず,スフィアを見てみると,内部にはLED光源を配置し,その光をゴム製の球体に当てて均等に発光させる仕組みになっている。検出精度を低下させる色ムラの発生を抑えるために,LED光源の発光面には光拡散用のレンズが取り付けられているほか,スフィアは継ぎ目をなくすために一体成形されている。スフィアの直径は45mmだが,「これは,高い検出精度と色ムラの抑制を両立できるぎりぎりの大きさ」(同社 第2事業部 設計部 5課 課長の宮崎良雄氏)だという。スフィアが大きいほどカメラで検出しやすくなるが,逆に色ムラが発生しやすくなる。

センサの配置に工夫

 モーコンに搭載する各種センサの配置にも,検出精度を高めるための工夫が垣間見られる。

 例えばxy軸用とz軸用のジャイロ・センサをそれぞれ,メイン基板の中心線上に配置している(図2)。モーコンを左あるいは右に振った場合に,それぞれの場合でその「振れ幅」が同じになるようにするためだ。

図2 モーコンのメイン基板。表側に加速度センサとジャイロ・センサ,裏側に地磁気センサが実装されている。部品の説明は本誌推定。
図2 モーコンのメイン基板。表側に加速度センサとジャイロ・センサ,裏側に地磁気センサが実装されている。部品の説明は本誌推定。
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 地磁気センサは,磁性体から極力離れた場所に配置されている。不要な磁場の変化で生じる検出誤差を抑制するためである。搭載部品の中で最も大きな磁性体はLiイオン2次電池である。そこで,地磁気センサは同電池から離れた,メイン基板の上方に実装してある注1)

注1) どうしても地磁気センサから離すことができない金属部品,例えばボタンのばね部品やBluetoothモジュールのシールドなどには,非磁性体を採用している。