Linuxでは、様々なデスクトップ環境が開発されていて、簡単に着せ替えできます。8種類を試して、好みのものを見つけましょう。UbuntuとFedoraでカスタマイズする方法も紹介します。

 Linuxには、Windowsと大きく異なる点があります。デスクトップ環境を自由に変更できることです。画面上に表示されるウィンドウや壁紙、操作パネルといった最もユーザーに近い場所にあるデスクトップ環境を、各ユーザーの好みに合わせられるのです。

 Linuxの初心者なら直感的に操作しやすいものにしたり、古いPCで使うなら軽量のデスクトップ環境にしたりできます。ウィンドウ枠をデザインしたり、動作を派手にするといった見栄えの変更も可能です。

 Linuxのデスクトップ環境は、4種類のソフトウエアで構成されています。「ウィンドウシステム(X Window System)」「ウィンドウマネジャー」「統合デスクトップ環境」「デスクトップインタフェース」です(図1)。

図1●デスクトップ環境の主な構成
図1●デスクトップ環境の主な構成

ハードやウィンドウを担当するX
 ウィンドウシステムは、画面上に描画する内容をグラフィックスカードに送ったり、マウスからの入力を受け取ったりするなど、ハードウエアを管理するソフトです。その代表格が「X Window System」です。ディスプレイの表示解像度や色数などを管理します。

 X Window Systemは、アプリケーションの画面を表示するウィンドウの管理や描画を担当します。例えばアプリケーションのウィンドウをIDで管理したり、ウィンドウの大きさや配置を管理したりします。ただし、マウスでウィンドウの場所を移動するなどのユーザーからの直感的な変更操作には対応しません。

 X Window Systemには、「X.Org」や「XFree86」など、複数の実装があります。UbuntuやFedoraではX.Orgを標準で採用しています。

枠を管理するウィンドウマネジャー
 ウィンドウシステムだけでは、ユーザーがウィンドウを直接操作できません。そこで、ウィンドウを操作できるウィンドウマネジャーと組み合わせます。

 ウィンドウマネジャーによって、マウスを使ってウィンドウを移動したり大きさを変更したりできます。アプリケーション開発者は、ウィンドウの周りに“枠”を付け、現在動作中のアプリケーションの名前などの情報を表示したり、最大化/最小化、アプリケーションの終了を指示するアイコンを配置したりできます。

 ウィンドウマネジャーは多くの種類が開発されています。「Twm」「Window Maker」「Fluxbox」「JWM」「Metacity」「Compiz Fusion」などです。中にはタスクの管理や仮想デスクトップの切り替え、アプリケーションを呼び出すメニューの配置などができるものがあります。

AP連携の統合デスクトップ環境
 統合デスクトップ環境は「デスクトップにかかわるアプリケーション」と連携する機能を提供します。例えば、ファイルマネジャーと連携して、デスクトップ上にファイルを配置します。ファイルマネジャーで表示しているファイルを、別のアプリケーションのウィンドウにドラッグアンドドロップしたとき、ファイルを開けるようにします。アプリケーションからの通知をパネル上に表示するといった機能も実現します。統合デスクトップ環境にも「GNOME」「KDE」「Xfce」「LXDE」など多くの種類があります。

 統合デスクトップ環境には、ファイルマネジャーや画像ビューアー、Webブラウザー、メディアプレーヤーなども同こんされています。例えばGNOMEには、ファイルマネジャーの「Nautilus」やメディアプレーヤーの「Totem」が入っています。

UI担うデスクトップインタフェース
 統合デスクトップ環境のユーザーインタフェースを担うソフトが、デスクトップインタフェースです。例えば、アプリケーションを起動するためのメニュー表示や、ウィンドウタスクの管理、アプリケーションの切り替えといった機能を備えています。

 デスクトップインタフェースにも多くの種類があり、「GNOME Shell」「Unity」「Plasma」などが代表的です。

デスクトップ環境を切り替える

 それでは代表的なデスクトップ環境を8種類試しましょう。複数のウィンドウマネジャーや統合デスクトップ環境をインストールした後には、1度ログアウトしてから、ログインアカウントの選択エリアの右上にある丸をクリックすると切り替えられます(写真1)。

写真1●ウィンドウマネジャーや統合デスクトップ環境の切り替え方法
写真1●ウィンドウマネジャーや統合デスクトップ環境の切り替え方法
ログイン画面のアカウント選択エリアの右上にある丸をクリックすることで選択できる。