「我々は、そうと気づかぬうちにグローバルな大脳葉切断手術を受けつつあるのだ」─。そんな言葉が飛び交う本書は、現在のWebで進むパーソナライズの弊害について様々な観点から論じた本だ。

 あらゆる「信号」をもとにパーソナライズされた情報を導き出すGoogle、ソーシャルグラフを起点にそのユーザーが好むであろう情報を選択するFacebookなど。いまやWebの世界は、誰もが同じ姿を見ているのではない。著者はこのような状況を「フィルターバブル」と表現する。

 確かに膨大な量の情報から好みに沿った情報を抽出するのに、このような「フィルターバブル」は便利だ。その一方で、行き過ぎたパーソナライズは、予期せぬ情報やモノとの出会いがなくなり、新たな世界への道が知らぬうちに閉ざされる。Webの世界の本質的な変化をとらえた、刺激的な本だ。

閉じこもるインターネット

閉じこもるインターネット
イーライ・パリサー著
早川書房発行
2100円(税込)