環境の変化に合わせて、我々が学ばなければならないことは増え続けている。しかし人間というものはどうもあまのじゃくにできているようで、やりなさいと上から言われると支配されているようで、やる気が無くなるのは私だけだろうか。

 とにかく、自分がやりたくなるようなインセンティブや、ゲーム感覚を取り入れて楽しく学べるようにしようと、できるだけコンテスト方式を取り入れた。

英語力向上コンテスト

 新しい技術は大抵が海外から英文でやってくるし、オフショアにしても、海外との連携開発にしても、英語が分からなければどうしようもない、ということは誰でも知っている。だが、途中で挫折して、読みかけの参考書ばかりが虚しく本棚を専有しているという話はよく聞く(我が家も)。

 そこで、個人と職場のグループ単位で、TOEICの平均点数の上昇を競い合うコンテストを行った。マネジメント職は必須で、メンバー(役職のない従業員)は希望者のみの参加とし、初回登録の点数から、半年後のTOEICテストまでに、平均点(個人は獲得点数)を何点伸ばせるかというコンテストで、半期ごとに全社員の前で表彰し、上位アップのメンバーには海外研修の特典も付けた。

 初期の参加者は比較的、英語に抵抗の無いメンバーが多かったが、メンバーの参加率も評価に加えてあったので、メンバーが誘い合いながら、業務終了後の英語研修(会社負担)に参加したり、英語の得意なメンバーが補講を開いたり、英語の苦手なメンバーを後押しする姿があちこちで見られるようになり、英語研修1つだけでも、かなりグループの親密度が上がった。

 ただ、英語のコンテストについては、希望者のみと言いながらも、多少強引な仕組みにしてメンバーにストレスを与えてしまったが、この英語だけはやらなければ後でもっと大きなストレスになると、私自身が外資系企業に在籍して、身をもってそのストレスを痛感したので、社員全員にその旨を説明し続けた。

 私が着任した時の、社内のTOEIC平均点数は受験者も少なく、信じられないような点数だったが、施策を続けて3年もたった頃には、受験率は社員の7割を超え、さらに社内の平均点数は、世間の平均をも上回った。

 「僕には英語は必要ありません、C言語だけで生きていけます!」と言っていたあるエンジニアが、海外のメンバーとテレビ会議で英語を話しているのを見て、つくづくやってよかったと思っている。