ERP(統合基幹業務システム)パッケージ国内大手のワークスアプリケーションズは米IBMと提携し、2013年夏までに海外市場へ進出する。日系企業の海外子会社を対象に、人事給与や会計のパッケージを売り込む。独SAPや米オラクルなどの製品では実現しにくい日本のグローバル企業のニーズを取り込み、100億円規模の事業に育てる考えだ。

 ワークスは国内顧客向けの業務プロセスを多数盛り込んだERPを開発し、SAPやオラクルとの差異化を図り国内市場で成長してきた。しかし、海外市場にはSAPとオラクルの2強が君臨。ワークスは国際的な制度への対応などで後れを取っている。

 そこで、二つの戦略を打ち出した。一つが、ワークスの顧客である日本企業の海外グループ会社に絞ること。ワークスの八剱洋一郎最高顧問は「顧客がグループ全社で実施している手順と、現地で必要な手順の両方を実装できる」と説明する。海外大手の製品を使ったグローバル統合では、「海外法人やM&A(合併・買収)した企業との調整が大変で、導入までに時間がかかってしまう」(八剱氏)。

 ワークスは顧客に直接販売しサポートも手掛けるビジネスモデルで利益率を高めているが、海外展開は難しい。海外サポート拠点として、2012年内にシンガポール、2013年3月までに北米に拠点を開設する計画だが、手薄であることに変わりはない。

 そこで二つめの策として、打ち出したのが米IBMとの提携だ()。国内では各サーバーだけでなく、アマゾン・ドット・コムのクラウドにも対応するが、海外ではIBMのソフトウエア統合ハードである「PureSystems」にプラットフォームを絞り込んだ。

図●ワークスアプリケーションズの海外向けERPの特徴
日系企業の海外子会社を対象に、米IBMと提携して2013年夏に投入する予定
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 PureSystemsは数千件のシステム構築経験から得た「システム設定パターン」を組み込んでおり、設定が短時間で済む。ERPのチューニング作業が容易になるという。また、クラウドへの負荷分散を活用し、運用時のトラブルを回避する。

 提携により、両社はワークス製品のPureSystemsへの搭載や、クラウドへの負荷分散などの検証を優先的に進める。ワークスは、PureSystemsのユーザーに対して、自社製品を売り込む機会を得る。