甚大災害に備え、市民が災害情報をワンストップで得られるネットの新サービスが相次いでいる。NTTとNHKは2012年10月1日、主要な安否情報サービスをまとめて検索できる統合サイトを開設。Twitter Japanは12年9月下旬から、自治体や公的機関が発信した信頼できる災害情報を簡単に探せるサービスを始めた。

 ヤフーは9月だけで神奈川県や神戸市など8団体と協定を結び、災害情報の発信で提携した地方自治体を40超に増やした。いずれのサービスも通信やネット企業、報道機関など民間が自治体などを交え、情報連携を強化して実現させた。東日本大震災から1年半が経ち、「ネットの強みを活用したい関係者の意識のすり合わせが進んだ」(NTTの守山貴庸R&Dビジョン担当部長)ことが連携を促している。

画面●NTTなどが開設した安否情報サイト「J-anpi」の検索画面
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 NTTとNHKが共同で開設した新サイト「J-anpi」では大きく二つの安否情報を検索できる(画面)。一つは、携帯電話とPHS、NTT東西地域会社の通信事業者8社が提供し、市民が自ら情報を入力するWebサイト型の安否確認サービス。もう一つは、NHKと郵便局、NTT東西がそれぞれコールセンターや職員の手で集めた安否情報リストである。

 東日本大震災が起きた2011年3月の時点で、携帯電話とPHSの6社の安否確認サービスは相互接続されていたが、NTT東西が提供するサービスとは接続できていなかった。安否を確かめたい知人の情報がどこにあるかは分からず、利用者は複数のサイトにわたり手間をかけ調べていた。また、安否情報はNHKや郵便局、固定電話の修理対応などでNTT東西も別に集めており、これらの情報はWebサイト型サービスでは確認できなかった。

 震災後、NTTが携帯電話各社と接続協議を進める過程で「NHKも安否情報を検索できるWebサイトを計画していると知り、2011年暮れに統合サイトの構築を提案した」(NTTの守山担当部長)。今後は、自治体や新聞社など他の報道機関にも安否情報の提供を呼びかける予定だ。

 Twitter Japanは自社のミニブログ「Twitter」で、地域を指定して信頼できる情報源を参照できる「ライフアカウント検索」を始めた。被災地の郵便番号を打ち込むと、自治体や消防署、交通機関などの災害情報発信用アカウントを検索し、すぐに「フォロー」(継続的に情報を閲覧)できる。

 新サービスの発端は、「東日本大震災の時にツイート数が平時の6倍を超えた」(近藤正晃ジェームス Twitter Japan代表)などTwitterが災害情報の共有手段として活躍した一方で、古い情報が「リツイート」され続けるなど、一部で混乱を招いたことだった。

 新サービスでは、認証を受けた公的機関のアカウントだけを検索対象にする。リツイートより即時性が高い一次情報を優先して参照してもらう狙いだ。