前回の「概要を押さえる」では、MDM▼が求められるようになった背景と、その代表的な機能について紹介した。今回はMDMの導入に当たって管理者が検討すべき点と、利用者が端末にどのような作業をする必要があるのか──といった「導入前の準備」について解説する。
オンプレミスかSaaSか
企業ネットワークの管理者がMDMの導入に当たって検討すべきポイントを図1にまとめた。順にみていこう。
最初に検討すべきポイントは、MDMのシステムを自社内に持つ「オンプレミス」とするのか、社外のサービスを利用する「SaaS▼」とするのか─という点だ。企業ネットワークの現場でよく聞くのは「小規模で早く始めたい」というもの。この場合はSaaSが向く。SaaSならその後の拡張も容易だ。一方で、自社構築をポリシーとする企業も少なくなく、この場合はオンプレミスとなる。
また、端末台数の規模が大きい場合には、オンプレミスのほうがコスト面で有利となる。オンプレミスは初期費用がかかるものの、台数増加によるランニングコスト増は小さい。これに対してSaaSの場合、利用料金は端末台数当たりの月額あるいは年額課金となるケースが多いからだ。
ヘルプデスクは社内か社外か
次に検討すべきポイントは「ヘルプデスク」である。パソコンや複合機などのトラブルに対応するためにヘルプデスクを社内に持っている企業も少なくない。その場合は、この社内ヘルプデスクの業務を拡大して、スマートフォンやタブレット端末といったスマートデバイスの問い合わせにも対応してもらうというのが自然な発想だろう。利用者にとってはよくわかっている電話番号やメールアドレスで連絡できるなど使い勝手もいい。
ただし注意が必要なのが、MDMが必要になるのは紛失・盗難といった緊急時であり、休日や深夜を問わず24時間365日の即時対応が求められること。社内ヘルプデスクは平日日中のいわゆる「9時-5時」しか受け付けないので、社外のヘルプデスクを利用するかどうかが検討ポイントとなる(図2)。