2012年後半、Windowsは大きな転機を迎える。開発中だった次世代クライアントOS「Windows 8」が8月1日に完成、10月26日から全世界で一斉にパッケージや搭載PCが発売される(写真1)。例によって、深夜の発売イベントが開催され、ニュースなどで取り上げられることになるだろう。
このWindows 8のサーバー版といえる「Windows Server 2012」は、一足早い9月26日にパッケージ版を発売済み。さらに、並行して開発を進めていスマートフォンOSのWindows Phoneも「Windows Phone 8」に生まれ変わって間もなく登場する予定だ。大型サーバーからパソコン、さらにはスマートフォンまで、すべてのWindows環境が、2012年末にかけて一新されることになる。
いたって順調に進んだ開発作業
Windowsの新版が、2012年に提供されるのは当初の計画通りである。マイクロソフトはもともと、約3年おきにクライアントOSをメジャーバージョンアップするという方針を明らかにしており、その計画にしたがって開発を進めている。
Windows XPの後継となるWindows Vistaについては、セキュリティ問題などへの対応などのトラブルが発生したため、Windows XPの発売から約5年間のブランクが空いてしまった。だが、2006年末に登場したVista以降は2009年にWindows 7を発売し、そして2012年のWindows 8発売と、マイクロソフトは計画通りに製品を提供している。今回のWindows 8だけを見ても、2011年1月のCESではじめてその存在を明らかにしてから、ベータ版やRC(Release Candidate:製品候補)版といったマイルストーンについてもほぼ計画通りに提供しており、開発作業はいたって順調に進んだと言えるだろう(表)。
2011年1月 | ラスベガスで開催されたCESでCEOのBallmer氏がWindows 8を開発していることをはじめて公式に表明 |
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2011年9月 | オーランドで開催されたBUILDで開発者プレビュー(Developer Preview:DP)を公開 |
2012年2月29日 | ベータ版に当たるコンピュータプレビュー(Consumer Preview:CP)を公開 |
2012年6月第1週 | RC(Release Candidate)に相当するリリースプレビュー(Release Preview:RP)を公開 |
2012年8月1日 | RTM(Release to Manufacturing:製造出荷)版が完成 |
2012年9月1日 | 企業ユーザー向けにボリュームライセンス版を提供開始 |
2012年10月26日 | パッケージとプリインストールPCを全世界で一般発売 |
だからといって、Windowsの将来も順風満帆かというと、必ずしもそうとは言えない。むしろ、Windows 8をはじめとする今年登場のWindows製品群には、これまでのWindowsにはなかった厳しいミッションやクリアすべきハードルが待ち受けている。まさに、Windowsの将来を占うターニングポイントとなる製品と言っていいだろう。