システムのコストを押し上げる要因として無視できないものに、ストレージの容量と価格が挙げられる。簡単に言えば、大容量、高速、高信頼性のストレージサブシステムは高価で手がかかるのである。もし、SQL ServerのデータベースファイルやHyper-Vの仮想ディスクファイルを安価なファイルサーバーの共有フォルダーに保存することができれば、ストレージの価格も安くなるし、アプリケーションサーバーの増減のたびにSAN(Storage Area Network)のファブリックを再構成するコストも不要になる。

 もちろん、単なる共有フォルダーにはSANを置換できるほどの高い信頼性、可用性、保守性はない。もし、1台の物理サーバーと1台の物理ディスクでファイルサーバーを構築すれば、そのサーバー本体やハードディスクが単一障害点(Single Point of Failure:SPOF)となり、性能や稼働率などのサービスレベルを満たすことはできないだろう。

 そこで、信頼性、可用性、保守性を向上させると同時にコストを抑えるWindows Server 2012の標準機能が「スケールアウトファイルサーバー(SOFS)」になる。SOFSは最大4ノードで構成されたフェールオーバークラスターを基盤とし、ノード間の共有ディスク上に構成した共有フォルダーをクライアントに公開することができる。

 SOFSは全ノードが同時にアクティブになる「アクティブ-アクティブ」構成となるので、どのノードもクライアントのファイル読み書き要求を受けられるだけでなく、同じ共有ディスク上の記憶領域を同時に読み書きできるので、ノードを増設(スケールアウト)するほど、また共有ディスクを増設するほど、サーバー、ディスク、ネットワークの使用率が高まり、より多くのクライアントが接続できるスケーラブルなファイルサーバーを構築できる。フェールオーバークラスタリングは、Hyper-Vを使って仮想マシンで簡単に構築できる。