英国ゲイドンで2012年9月19日~20日にかけ、第2回Automotive Linux Summitが開催された。Automotive Linux Summitは自動車におけるLinux活用をテーマとしたカンファレンス。The Linux Foundationが主催し、第1回は2011年11月に横浜で開催されている(関連記事)。

写真●英国で開催された第2回Automotive Linux Summit
写真●英国で開催された第2回Automotive Linux Summit
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Automotive Linux WGが発足

 わずか1年前の昨年7月にトヨタ自動車がThe Linux Foundationのゴールドメンバーとして参加することが発表された際には、「一体なぜ自動車会社がLinux Foundationのメンバーに」と不思議がる声を多く聞いた。

 またわずか10カ月前、横浜で開催された1回目のAutomotive Linux Summitでは、確かに当初の想定を大幅に上回る200名以上の参加者が集まったが、セッションも自動車業界に特化した内容のものが少なく、まだまだ「手探り」感や「様子見」感が会場の雰囲気を支配していた。

 そして今日、2回目のAutomotive Linux Summitが開催され、トヨタ自動車、日産自動車など16社の支援によりAutomotive Linux ワークグループが発足した。また自動車メーカーとしてはトヨタ自動車に続き2社目となる、Jaguar Land Rover のLinux Foundationのメンバーへの参加が発表された。Automotive Grade Linux ワークグループにはJaguar Land Roverも参加。デジタル計器盤や車載インフォテインメントなどの自動車アプリケーション向けに最適化された、基準となるリファレンスプラットフォームを開発し提供する方針である(関連記事)。

「各社が協力しLinuxを自動車へ最適化」、トヨタ村田氏

 トヨタ自動車の第一電子開発部主査の村田賢一氏が基調講演者として登壇した。

写真●トヨタ自動車の第一電子開発部主査の村田賢一氏
写真●トヨタ自動車の第一電子開発部主査の村田賢一氏
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 Linuxを自動車ビジネスに活用するにあたり、情報家電業界などの先進性を取り込みつつ、自動車ビジネス特有の要求をLinuxに入れていくという作業を各社が独自に行っていくことは困難であると村田氏は語る。そのため業界各社が協力し、Linuxを自動車ビジネスに最適化に向けて力を合わせるよう呼びかけた。

 その上で、単に各社が集まって要件を定義するのでなく、実際にコミュニティに入ってコードを書くことが重要であることと指摘した。これまで自動車業界で行われてきたような、各社がバラバラのハードウエアの上で開発を行うのではなく、共通のリファレンスハードウエア(パソコンにおけるPC/AT アーキテクチャに相当するような)の上で開発を行う必要があると述べた。

 これにより、自動車メーカーだけでなく、IVI(車載用インフォテインメント)サプライヤーやISV(独立ソフトウエアベンダー)、それにコンテンツプロバイダーなどにとっても大きな利益を享受できるはずであると村田氏は語った。

 またこのようなオープンなコラボレーションを実現するための場としてのAutomotive Grade Linux ワークグループへの参加を会場に向けて呼びかけた。