米インテルが、超省電力サーバーである「マイクロサーバー」の市場開拓に乗り出した。プロセッサの消費電力が6ワットで、低電圧版「Xeon」の約3分の1となる「Atom S」シリーズを2012年末までに出荷する。低電力技術を得意とする英ARMがサーバー市場への進出を始めており、対抗する狙いがある。

 2012年9月11日、開発者イベント「IDF 2012」でインテルが明らかにした。開発コードでCentertonと呼ばれていたもので、Atomをサーバー用途として位置づけるのは初めてだ()。

図●インテルの主なサーバー向けプロセッサの消費電力とコア数
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 メモリーのエラーを修正するECCや仮想化などサーバー用途向けの機能に対応。周辺のチップとのインタフェースを統合したSoC(システム・オン・ア・チップ)として提供する。

 マイクロサーバーはWebサーバー用途のほか、HadoopやMemMemcachedといった分散処理のソフトウエアの実行に適している。数百から数千の多数のサーバーを稼働させて負荷を分散。省電力と処理性能を両立させる。マイクロサーバーに切り替えることでインテルは、顧客が消費電力を最大2分の1、保有コストを最大4分の1に抑えられる可能性があるとしている。

 インテルはARMの動きを警戒している。例えば、米ヒューレット・パッカード(HP)の新型サーバー開発計画「プロジェクト・ムーンショット」では、ARMのコアを搭載したプロセッサを採用。Atom Sと同等の6ワットを実現しているという。

 ITベンダーはAtom Sを搭載するマイクロサーバーを2012年末以降に投入する見通し。まずは、コンシューマー向けのネットサービス企業が、契約するデータセンターに大量導入するとみられている。実際、大手EMS(電子機器の受託製造サービス)である台湾クアンタ・コンピュータが、データセンター向け独自サーバーで採用に名乗りを上げている。