ITは市場を見える化するだけでなく、イノベーションを加速し、ビジネスの変革を支える。しかし、情報システムを時間をかけてつくり込むようでは、事業環境の変化に後れを取ってしまう。できるだけシンプルなITを用いてコストと時間を最小化しつつ、ビジネスの価値の最大化を目指すべきだ。

ハードからアプリまで一体化、垂直統合で様々なメリット

日本オラクル 代表執行役社長 最高経営責任者 遠藤 隆雄 氏
日本オラクル
代表執行役社長 最高経営責任者
遠藤 隆雄 氏

 オラクルの掲げるSimplify IT and Unleash Innovationはそんなメッセージを込めている。Simplify ITは「ITを簡単に」、Unl eash I nnovati onは「イノベーションの解放」。イノベーションの解放を迅速化するにはシンプルなITが欠かせない。

 I Tをシンプルにするため、オラクルはハードウエアからアプリケーションに至るまですべてを提供する。ハードウエアからアプリケーションまでの垂直統合は導入期間の短縮や導入費用の低減を図り、安定稼働などの品質向上にもつながる。それを具体化した製品がソフトウエアとハードウエアを一体化したOracle Engineered Systemsである。

 垂直統合とベンダーロックインは必ずしも一致しない。メインフレームは堅牢性などのメリットを与える半面、稼働するアプリケーションをほかのプラットフォームに移行することが難しく、ベンダーロックインに悩まされた。オラクルの垂直統合はオープンなアーキテクチャーを維持する。Engineered Systemsで稼働するシステムはほかのプラットフォームに簡単に移すことができ、ベンダーロックインを回避しながら垂直統合のメリットを享受できる。

 ビジネスの変革には、情報の活用が欠かせないが、情報活用の成熟度を比べると、日本企業は米企業に比べて後塵を拝している。グローバル展開を加速するためには、情報活用戦略を見直し、効果的な情報活用ができるようにしておく必要がある。

 社内情報の活用基盤の整備はその1つだ。日本企業は部署ごとに情報が分散したり、情報収集に時間を要したりしており、必ずしも情報を有効活用できていない。部署ごとに分散している情報を顧客起点に統合し、迅速に情報を収集できるようにしておく必要がある。オラクルのハイパフォーマンスのデータベースマシンOracle Exadataはそれを実現する。

情報活用戦略を再検討する際のポイント
●情報活用戦略を再検討する際のポイント
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 Oracle ExadataはEngineered Systemsの構想に基づき開発されたもの。データの大量分析を実現し、高速な問い合わせ・応答処理を実現できる。実際、ある食品会社は以前なら販売情報の確定に2日間を要したが、OracleExadataによって翌朝確定を実現した。それにより、売れ筋商品の在庫を1日分、その他の商品在庫を3日分削減したほか、売り切れ商品を最小化して販売機会の損失も減らせた。

 社内情報とともに、社外情報の重要性も高まっている。ソーシャルメディアをはじめとする社外データは爆発的に増大し、ビッグデータと呼ばれる。この膨大なデータの活用がビジネスの変革を大きく左右する。

米企業が注目するCXの真髄は顧客に感動を与え満足度を向上

 米国企業がカスタマーエクスペリエンス(CX=顧客経験価値)の向上を重視し始めたのはこの文脈で考えているのだろう。CXの狙いは顧客に感動を与えることにある。感動した顧客はリピーターになる可能性が高く、周囲にも薦めてくれる。CXを高めていくと、結果としてビジネス価値は向上する。

 オラクルのRightNowはCXを実現するソリューションだ。Webサイトを訪れても、知りたい情報が見つからないことがある。RightNowはWebサイト上でのふるまいを解析し、知りたがっていることを高い精度で推測し、求めていると推測される情報をURLなどの形で示しながらチャットで「こういうことでお困りではないですか」と送信する。企業はコストアップの要因である電話対応を増やすことなく、サイト来訪者に感動を与えられる。

 ビジネスの変革に役立つオラクルのソリューションはそれだけではない。100を超えるモジュールからなる多様なアプリケーション群Oracle Fusion Applicationsもその1つだ。業界標準のテクノロジーにより柔軟な構成、拡張性を実現するうえ、BI(ビジネスインテリジェンス)機能の内包やモバイル対応などによってワークスタイルの変革も支える。SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)やオンプレミス、ハイブリッドクラウドなど様々なシステムモデルとして提供できる。

 世界の経済成長の3分の2が新興ビジネスによるという予測もある。企業が成長を続けるには、新しいビジネスモデルへの挑戦、ビジネスの変革による新たな価値の創出が必須だ。オラクルは様々なソリューションを提供することで、そのお役に立てると確信している。