Android搭載機の周辺機器を開発するキットの新版「ADK 2012」が登場した。米Google社は実際の製品イメージとして、目覚まし時計やオーディオドックとして動く機器を開発して配布。操作用のAndroidアプリも公開した。

 米Google社が2012年6月に開催した開発者向けイベント「Google I/O 2012」では、Androidの新版4.1(開発コード:Jelly Bean)とともに、Androidのアクセサリー(周辺機器)開発キットの新版「ADK(Android Accessory Development Kit)2012」が発表された。

 新版では、USBに加えBluetoothをサポートし、無線で接続できるようになった。さらにアクセサリーをオーディオデバイスとして動かし、Android搭載機から音楽などを流せるようになる。

 今年のGoogle I/Oでは、実際の製品イメージに近いハードウエアが提供されたのが目新しかった。アラームクロックやオーディオドックとしての機能を持つ機器で、筆者など、Google I/Oで開かれたADK 2012セッションに参加した技術者に配布された(図1左)。

図1 米Google社の開発者向けイベントで配布されたAndroidアクセサリー
図1 米Google社の開発者向けイベントで配布されたAndroidアクセサリー
ADK 2012に準拠し、Bluetooth通信モジュールを備えている。
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 一方、昨年のGoogle I/Oで登場した初期版(ADK 2011)のハードウエアは、きょう体を持たない開発用ボードであり、Androidにアクセサリーを接続できることを示すには十分だったが、具体的な製品はイメージしにくかった。今年のADK 2012では実例を示すことで、様々なアイデアが出ることを促したいのだろう。

各種センサーが付いた目覚まし

 今回のアラームクロックはGoogle I/Oのセッションで配布されただけで、販売されていない。しかし設計図などが公開されているので、初期版と同様、これをベースにした製品を開発することは可能である。ハードを動かすAndroidアプリもソースコードが公開されていて、Google Playからダウンロードできる(アプリ名は「ADK 2012」)。

 実例として提示されたアラームクロックは特殊な形をしているが、磁石を外して中を簡単に開けられる(図1右)。ボードはADK 2011と同じように、メインボードとシールド(サブボード)に分かれていて、シールドがきょう体と一体になっている(クロックが表示された側)。

 メインボードのCPUは米Atmel社製で、ARM Coretex M3がベース。2個のUSBポートやmicroSDカードスロットなどを備える。シールドは、温度、湿度、気圧、加速度、磁気、色彩、明るさ、近接と多彩なセンサーを搭載する(I2Cというシリアル通信で接続)。「これでもか」という全部入りの状態だ。

 シールドに取り付けた64個のカラーLEDは自由に制御が可能で、カラフルに文字などを表示できる。アラームやスライドタッチセンサーを設定するためのタッチボタンが付いていて、各種センサーの計測値をLEDに表示することも可能だ。

 きょう体に貼り付けているNFCタグには、前述のADK 2012アプリのダウンロード先が記録されている。NFC対応のAndroid搭載機で読み取ると、すぐにアプリをダウンロードできる。ただしNFCタグはボードとは接続されておらず、リーダー/ライターの機能は持たない。