普通のエンジニアである筆者は過去に英語の勉強法を試したものの、結局モノにならなかった。しかし、ある日突然、本気で英語に取り組まなければならなくなった。英語をネイティブで話す人たちに囲まれて、ワークショップのセッションをやる必要に迫られたのである。今回から始まる短期連載では、筆者が自ら実践した英語学習法のエッセンスを、皆さんと共有したい。


 もっと英語の実力を身につけたい。相手の言うことが分かるだけでなく、自分の言いたいことを英語でペラペラしゃべれるようになりたい---。こう考えているITエンジニアが増えているようだ。企業のビジネスがグローバルに広がり、海外拠点でのシステム開発や海外との共同プロジェクトも珍しくなくなっている現在、IT業界でも英語の必要性が高まっているのは確かだろう。

 一方で、英語の必要性は理解しつつ、どう勉強していいか分からない。あるいは、いくつか勉強法を試してみたけど、なかなか英語力は上達せず、仕事の忙しさにかまけて結局挫折してしまった。こんな経験をお持ちの読者も少なくないのではないか。

 筆者も、そんなエンジニアの一人だった。過去に英語の勉強法を試したものの、結局モノにならなかった。しかし、ある日突然、本気で英語に取り組まなければならなくなった。米国で毎年開催されている開発者向けカンファレンスで、筆者の書いた論文が審査をパスしたからだ。英語をネイティブで話す人たちに囲まれて、ワークショップのセッションをやる必要に迫られたのである。

 結論から言うと、講演だけでなくQ&Aなども含め、英語で全てこなすのは難しいと言われるワークショップをしっかりやり遂げることができた(写真)。カンファレンスまでの8カ月程度、筆者なりの勉強法で英語を勉強した成果である。現在では、ネイティブの米国人から「あんた、どっか海外で住んでたことあるの?」と言われるほどの英語力になっている。

写真●国際カンファレンス「Agile2011」で英語で講演する筆者
写真●国際カンファレンス「Agile2011」で英語で講演する筆者

 自慢話のように聞こえるかもしれないが、そうではない。筆者はこの文章をお読みの皆さんの多くと同様、ごく普通のエンジニアである。なのに、暗黒の英語力の状態から、なぜ海外でのワークショップをこなせるくらいまでになれたのか。

 筆者は「アジャイル開発」に長く関わってきた。このアジャイルの流儀を利用して、筆者なりの英語勉強法をまとめ上げ、実践したからである。試行錯誤や失敗、いろんなムダを経て、「このやり方ならうまく行きそうだ」という経験を積み重ねることで、うまくいくやり方に共通する「原則」が見えてきた。

 今回から始まる短期連載では、筆者が自ら実践した英語学習法のエッセンスを、皆さんと共有したい。今回は連載のイントロダクションとして、筆者の英語勉強歴を紹介する。