アップルは新機種を突然発表し、即座に販売を始める。製品に関する秘密主義を貫いており、顧客にあらかじめ「ロードマップ」を示すことはない。このため、企業がiPhone/iPadの導入計画を立てるのは、なかなか難しい。

 新機種を発売すると、旧機種の販売を即座に打ち切るケースがある。「iPad」がそうで、2011年3月に「iPad 2」を発売すると、すぐにiPadの販売を終了した。「エンドユーザーへの教育コストを考慮して、社内に展開する端末は同一機種に統一したい」と考えても、それが実現できるかどうかはアップル次第だ。

 iOS新バージョンのリリースにも注意すべきである。アップルが製品出荷時にインストールするOSのバージョンが、すぐに最新バージョンに更新されるからだ。

 「アップルは代理店に対して、製品の在庫を持つことを許していない」(あるエンタープライズパートナーの社員)。そのため、iOSのバージョンアップ後に、旧バージョンのiOSを搭載したiPhone/iPadを新規調達するのは極めて難しい。「2011年10月にアップルがiOS 5をリリースすると、出荷されるiPhone/iPadの搭載OSが、すぐにiOS 5に切り替わった。ある顧客企業は、iOS 4.3のiPadを社内に展開している最中に、iOS 4.3を搭載するiPadを調達できなくなって困っていた」(同)。

 iOSでは、ユーザーが旧バージョンのOSをインストールする「ダウングレード」ができない。ユーザー企業としては、旧バージョンのiOSを使いたくても、新バージョンを使わざるを得ないのが実情だ。

サポートライフサイクルは不明

 現在のところ、iPhoneに関しては旧機種の販売が続いている。2011年10月に発売した「iPhone 4S」だけでなく、2010年6月に発売した「iPhone 4」も販売中だ。米国ではいまだに、「iPhone 3GS」も販売している。

 旧機種を購入した場合に気になるのが、製品の「サポートライフサイクル(寿命)」だ。その機種に対していつまで最新のOSが提供されるのか、またセキュリティパッチの提供が続くのか。アップルは、iPhone/iPadに関するサポートライフサイクルを開示していない()。米マイクロソフトがWindowsに関して「業務用製品は最短10年、消費者向け製品は最短5年」という原則を明示しているのとは対照的だ。

表●各種OS・機器のサポート期間
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 ユーザー企業としては、iPhone/iPadがこのような製品であると割り切って、常に最新機種を調達するのがよさそうだ。ガリバーの椛田氏は、「iPadの代金は、通話料金と合わせて、2年間の分割で支払っている。想定している寿命は2年だ。2年経ったら、新しい機種に更新しようと考えている」と語る。