アップルは現在、企業のシステム管理者を対象とした情報提供を実施していない。iOSを管理するための情報は意外と入手が難しいので、注意する必要がある。

 アップルがiPhone/iPadやiOSに関して提供しているのは、消費者向けのサポート情報と、アプリケーション開発者向けの情報である。毎年1回開催しているイベント「WWDC(World Wide Developers Conference)」も開発者向けイベントだ。

 企業としてiPhone/iPadを導入するのであれば、独自アプリを開発しない場合でも開発者プログラムに参加しておくのが望ましい。例えばiOSの新バージョンが登場した場合、前バージョンと比較した機能強化点などの情報は、開発者プログラム参加者向けのWebサイトである「iOS Dev Center」に掲載される。

 開発者プログラムに参加すると、iOSに関する詳細な技術資料「iOS Developers Library」や、WWDCでのセッションを録画したビデオなどを開発者向けWebサイトで閲覧できる()。iOSの新バージョンが登場する前に、評価版である「iOS SDKプレリリース版」も利用可能だ。iOS SDKプレリリース版を使うと、iOSのバージョンアップによって既存アプリに影響が生じるか否かを事前に検証できる。

図●アップルが提供している開発者向けサービスの種類と内容
情報入手だけが目的であれば、価格の安い「iOSデベロッパプログラム」で十分だ
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 ただし、「アップルの場合、iOSバージョンアップの正式版に、プレリリース版には無い“サプライズ”を入れることが多い。プレリリース版だけでなく、正式版でも必ずアプリの動作を検証しなければならない」(あるアプリ開発者)。プレリリース版に過度の期待を抱くのは禁物だ。

 アップルの開発者プログラムには、一般のアプリ開発者を対象とした「iOSデベロッパプログラム」(年間8400円)と、社内アプリの開発が可能になる「iOSデベロッパエンタープライズプログラム(iDEP)」(年間2万4800円)などがある。

 情報入手が主な目的であれば、より安価なiOSデベロッパプログラムで十分だ。

守秘義務対象の情報が多い

 開発者プログラムを利用する上での注意点もある。同プログラムで入手できる情報の多くは、アップルとのNDA(守秘義務契約)の対象となる。

 例えば、iOS SDKプレリリース版の内容や、開発者会議であるWWDCのセッションの内容などがNDAの対象である。