コンピューターウイルス(悪質なプログラム。以下、ウイルス)の被害が後を絶たない。新しいウイルスが次々と作られているのは、攻撃者が金もうけのツールとして使っているためだ(図1)。
現在出現しているウイルスの多くは、パソコンに保存されている情報を盗む。クレジットカード番号やWebサービスのパスワードといった金銭的価値の高い情報を収集し、ユーザーに気付かれないように、攻撃者へ送信する。
ウイルスで乗っ取ったパソコンを、別の攻撃者に貸し出すビジネスもある。ウイルス感染パソコンを、一定時間利用する権利を販売する。利用権を購入した攻撃者は、迷惑メールの送信や、ほかのコンピューターへの攻撃などに悪用する。
コンピューターウイルス(ウイルス)の定義はさまざま。本記事では、ユーザーが意図しない動作をする、悪質なプログラム全般のことをウイルスとする。悪質なプログラム全般は「マルウエア」などとも呼ばれる。
ウイルスは、感染方法や挙動で細かく分類できる(図A)。ワームやトロイの木馬は感染方法による分類。挙動による分類では、パソコンの情報を盗むウイルスは「スパイウエア」などと呼ばれる。セキュリティ企業によっては、スパイウエアとウイルスを区別するが、ここでは、ウイルスの一種に含める。