NHN Japanのスマートフォンアプリ「LINE」の快進撃が止まらない。2012年8月17日に全世界のユーザー数が5500万人、国内でも2500万人を突破した()。このブームに乗ろうと、多くの企業が熱視線を送っている。

図●LINEの会員数の伸びと主な公式アカウント(右)
サービス公開から14カ月で国内2500万人、全世界で5500万人のユーザーを獲得。日本コカ・コーラや資生堂、マツモトキヨシなどがLINE上で情報発信を始めた
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 LINEは電話番号を登録してアカウントを開設し、家族や友人との間でのコミュニケーションを楽しむためのツールだ。主な機能は、無料通話とメッセンジャーの二つ。iOSやAndroidなどで使える。

 最近になって、LINEはソーシャルメディアとしての色合いを強めている。好例が、6月に開始した「企業公式アカウント」だ。既にローソンなど10社以上が情報発信を始めた。Twitterの「フォロー」と同じ要領で、公式アカウントと「友だち」になることで、情報を受信できるようになる。

 ただし、公式アカウント開設にはNHN Japanの承認が必要で初期費用に200万円、月額維持費に最低150万円がかかる。にもかかわらず、多くの企業がLINEに注目するのには三つの理由がある。

 まず、ユーザー数を急速に拡大できることだ。LINEには、メッセージ上で喜怒哀楽を表現できる「スタンプ」機能がある。日本コカ・コーラが独自のスタンプを配付したところ、「公式アカウントのユーザー数が50万人から一気に膨張し、230万人を突破した」(広報)。

 次に、キャンペーン情報などに反応する確率が高い。6月に映画「アメイジング・スパイダーマン」の公式アカウントが無料鑑賞券のプレゼントを実施すると、開始2週間で約100万人の「友だち」が集まった。うち半数以上がメッセージを読み、最終的に17万人が応募した。

 最後は、若年層にリーチできることだ。資生堂が7月にLINEの公式アカウントを開設した背景には、実店舗に若者を集客したいという狙いがある。

 NHN Japanの田端信太郎執行役員は、「今年中に50社の公式アカウント開設を目指す」と意気込む。LINEとどう向き合うかで、企業のマーケティング戦略は大きく変わる。顧客接点の強化策を求められる情報システム部門にとっても、LINEは無視できない存在になりつつある。