ミャンマーのIT人材を日本で活用するIT企業が登場した。日立INSソフトウェアや電通国際情報サービス(ISID)の開発子会社である。

 日立INSは2012年夏までに5人のミャンマーIT人材を採用、今期中に10人以上へ増員する予定だ。ISID子会社のISIDインターテクノロジーも3人を採用した()。両社とも、ミャンマーIT人材の強みである日本語や英語の能力の高さを評価。複数の言語を使う必要がある技術的な仕事を任せている。

表●ミャンマーのIT人材を日本で活用し始めた主なIT企業
米IT企業との英語での交渉を担う技術者や、日本とミャンマーの開発拠点を橋渡しするブリッジSEとして採用している

[画像のクリックで拡大表示]

 日立INSがミャンマーIT人材の活用を始めたのは2011年11月。同社は米クリックテックのBI(ビジネスインテリジェンス)ソフトを販売するなど、海外企業と連携する業務が増加、「英語を使えるIT人材が足りない」(パッケージソリューション部の山口錦部長代理)という課題を抱えていた。こうしたなか、派遣業務などを手掛けるグローバルイノベーションコンサルティング(GIC)から、バイリンガルのミャンマーIT人材の紹介を受け、採用を開始。順次増員してきた。

 同社で働くミャンマーIT人材の大半は、米企業との折衝や顧客である外資系企業への常駐といった英語を使う仕事を担当している。中長期的な育成のためにミャンマーIT人材の自社採用も考えている。

 一方、ISIDインターテクノロジーは日本語を習得したミャンマーIT人材3人をブリッジSEなどで活用している。

 同社はミャンマーにオフショア開発拠点を持つ第一コンピュータリソース(DCR)に、業務パッケージソフトの一部開発・保守作業を委託している。ミャンマーIT人材はDCRが日本に派遣しており、2011~12年にかけて順次増やしている。

 開発拠点との意思疎通がしやすくなり、品質向上につながったなどの効果が得られたとする。「日本で働いた経験のあるIT人材がミャンマーに戻った後も、現地で高度な仕事を任せられる、品質管理を徹底できるといった中長期的な効果を見込める」とISIDインターテクノロジーの佐々木英夫社長は期待する。

 既に大和総研やNTTデータなど日系IT企業は、相次いでオフショア開発拠点をミャンマーに開設。現地のIT系大学を卒業し基礎的なITスキルを習得した人材を積極的に採用している。安い労働コストや日本語習得能力の高さ、勤勉で協調性のある国民性、堪能な英語力などを評価しているからだ。

 日系IT企業の海外展開やオフショア開発の拡大に合わせて、バイリンガルのミャンマーIT人材を日本で採用する企業も今後増えそうだ。