今年5月、米ヤフーのトップが学歴詐称で解任されました。そのニュースを聞いたブランク氏は、学歴詐称するかどうか選択を迫られた若いころを思い出した、と言います。今回の投稿は、当時のやりとりを振り返るエピソードです。(ITpro)

 レポーターから「どちらの大学に行かれていたのですか」と尋ねられて、履歴書に嘘を書くかどうか選択しなければならなかった日のことを思い出しました。

私は、その仕事がどうしても欲しい

 私がシリコンバレーで最初に就職できたのは、私にとっては偶然かつ幸運な出来事でしたが、会社から見るとやむを得なかったからでした。私の職歴はほとんど何もありませんでした。あったのは、空軍で4年間、原子炉の緊急停止システムの構築、ミシガン州アンアーバー市でのスタートアップ企業での経験だけでした。

 シリコンバレーでの2社目は、私の人生と職歴にとって意味のある転機になりました。プロダクト・マーケティングをしていた私に、あるリクルーターからコンタクトがあり、「ワークステーション」と呼ばれる分野でとても注目されているスタートアップ企業を紹介したいというのです。「この会社は技術に基づいた会社であり、あなたの経歴にぴったりです。あなたの履歴書を送ってくれれば、先方に提出します」。2~3日後に、そのリクルーターから電話がありました。「スティーブ、学歴が抜けている。どこの大学に行ったの?」。

「私は、大学を卒業していません」と私は答えました。

 電話の相手は長い沈黙の後、「スティーブ、このスタートアップ企業のセールス兼マーケティング担当副社長は、以前エンジニアリング部門の責任者でした。彼は以前、ハーバード大学のコンピュータ・サイエンス学部の教授で、前職はゼロックス・パーク研究所のアドバンス・システム部の責任者でした。この企業のほとんどの営業担当者は、それまでデザイン・エンジニアでした。私は、大学を卒業していない候補者は推薦できません。何かいい方法を考えてください」

 私は、いまだに当時の会話を覚えています。そのとき、私にはある選択肢があると思いました。しかし、その選択がどれほど深い意味があり、大切で、持続することだとは思いませんでした。嘘を書くことは非常に簡単でしたし、加えて、リクルーターもそうしろと言いました。彼は「誰も学歴などチェックしない」と言いました。当時は、インターネットがまだ普及していない、はるか昔のことでした。

私の変更後の履歴書

 私はリクルーターに「少し考えさせてくれ」と伝えました。そして、私は時間をかけて考えました。数日後、私はリクルーターに変更した履歴書を送り、彼はそれをコンバージェント・テクノロジーズに提出しました。

 そのすぐ後に、会社からインタビューに来るようにとの連絡がありました。その会社で私にインタビューした、私のボスになるかもしれないマーケティング担当副社長や数人のエンジニアのことはほとんど覚えていませんが、セールス兼マーケティング担当副社長のベン・ウエッグブレット氏とのインタビューは、決して忘れることのないものでした。

 ベンは私の履歴書を手にして言いました。

 「あなたが今、ここでインタビューを受けている理由は、私はいまだかつてこんな履歴書を見たことがないからです。あなたの履歴書には大学名が書かれていないし、学歴欄がありません。あなたは、ここに『メンサ』とだけ書いています」。

 彼は、通常は学歴欄があるべきところを指差して言いました。

「なぜこのようなことを?」

 私は答えました。