人によって、考える力に違いがあるという事実は、誰もが経験的に感じている。同じ考える力といっても、その質や深みは人によって明らかに異なるものだ。ただし、その程度に差はあるにしても、どんな人にも考える力は備わっている。そして、考える力は使わなければ低下するし、考えずにはいられない環境に置かれると見違えるほど強化される。では、どういう環境を整えれば、考える力を鍛えることができるのか。

 問題解決の環境が整っていないところでは、いくら研修で考え方を教え込んでも、そもそも考えようというモチベーションが働かないから、一時のお勉強で終わってしまう。結局、考える力は鍛えられない。そういうところでは、そもそも考えようという意欲がわいてこないのだ。つまり、本当の考える力を鍛えようと思えば、問題解決を促進する「環境」を作ることが前提条件になる。

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